商業施設ビルメンの業務内容その2
商業施設ビルメンの記事を書きましたが、もう少し具体的な業務内容を知りたいと要望がありましたので追加で記事を作成しました。
今回の記事では実際にあった営繕、作業内容、これから商業施設で勤務する方へのアドバイスなんかを話していきたいと思います。
商業施設ビルメンに興味ある方は前回の記事と合わせてご覧頂ければ幸いです。
この記事はYouTube動画もあります
営繕や作業
①ブレーカートリップ
分電盤のブレーカーがオフになることです。
原因としては、1回路で電気を使いすぎて過電流でオフになる場合と、漏電が原因でオフになるケースがあります。
1回路とは・・
下記写真の「子ブレーカー」と書かれている部分を例にしますと、子ブレーカーから先にはコンセントや照明など複数の機器が使えるように並列に電線が配線されおり、それら全てをひっくるめて1回路と表現しています。
この写真の子ブレーカーの容量は20Aまでですので、子ブレーカーから先で使用される機器が増えるほど子ブレーカーは落ちやすくなります。

突然電気が使えなくなったとテナントから連絡がきて現地確認した場合、1回路で電気を使いすぎて過電流で子ブレーカーが落ちている場合がほとんどです。
私が経験したケースだと、冬場に電気ストーブなどの熱器具を使って落ちることが多かったです。
この場合、別の回路のコンセントを使うように促したりして対応をします。
回路が足りない場合は、使用するのを我慢するように案内します。
次に漏電でブレーカーが落ちたケースについて話します。
商業施設で勤務していると漏電のトラブルは結構あります。
憶えているものですと、飲食店の厨房の炊飯器が使えなくなったと連絡が入った時のことで、現地を確認したところコンセントと業務用炊飯器のプラグのところに水がモロにかかっていました。
この場合、水がかかることで電気の逃げ道が出来てしまい、漏電という状態を発生させます。
普通の人だったら、電気炊飯器が使えないとなったらコンセントプラグを確認しそうなものですが、そこの商業施設のテナントの人らは設備に何かあったらとりあえずビルメンに連絡するという考えが定着してしまっており、まさかプラグに水がかかっているとは気づきもしなかったようです。
このトラブルの時は、子ブレーカーに漏電遮断機能がついていたので、1回路だけブレーカーが落ちる症状で済みましたが、先ほどの写真のように子ブレーカーに漏電遮断機能がない場合、上流の漏電ブレーカーが落ちるため分電盤の範囲全体の電気が使えなくなってしまうので注意が必要です。
このときはテナントの人に状況を説明して、コンセントを取り外して水を拭き取りよく乾かして、念のため絶縁抵抗測定をして異常がないことを確認してからブレーカーを復旧しました。
②衛生関係
衛生関係のトラブルは、一番多いかもしれません。
主に客用トイレや手洗いの詰まり、テナント厨房内の水栓の漏水や排水の詰まりなどがあります。
トイレの詰まりであれば、ビルメンの友達ラバーカップ君でほとんど改善しますが、稀に異物を流されて詰まっているケースがあり、この場合は便器の脱着が必要になることもあります。
便器脱着は頻度的に3か月に1回くらいだった気がします。
手洗いや流しの詰まりは、排水トラップに髪の毛や石鹸カスが堆積していることがほとんどですので、排水トラップを取り外して掃除すれば改善します。
排水トラップの脱着は自宅の流しとかでも練習できますので、入社前に自宅で分解して仕組みなどを覚えておくと本番で混乱しないで済むかもしれません。

水栓からの漏水は、パッキンやスピンドルの交換をすれば改善します。
ちなみに、水栓は色々な形があります。
慣れないうちは、先輩に聞いたりネットで検索したりしながら修理していけば良いと思います。
もちろん、自宅の水栓を分解して練習しておくのも良いと思います。
他にもトイレのウォシュレットの交換なんかもやりました。
ウォシュレットの交換は結構簡単なので、自宅のウォシュレットが壊れたときなんかは自分で交換してみると良いです。
衛生関係のスキルは家庭でも活かせるものが多いので覚えておいて損は無いです。
③建具関係
建具は扉や窓のことです。
扉や窓は頻繁に動かすため劣化しやすいのです。
主に扉の蝶番のビスがゆるんで、扉が傾き閉まりづらいなどの症状が出て呼ばれることが多かったですね。
木製扉の場合はビスの穴が広がってしまっていることがあるので、少しサイズの大きなビスに交換して取り付け直したりしてました。

他には、外部に通じる扉の場合、鍵穴にホコリが詰まってしまい鍵が回しづらくなる場合があり、こういうときは鍵(シリンダー)を分解して中を清掃することで復旧します。
分解方法はネットで調べれば細かく載ってますので、おそらく誰でも出来ると思います。
※最初は先輩と一緒にやりましょう笑
建具関係のトラブルは、直す人によってやり方が色々違ったりします。
上手に直せた時なんかはやりがいを感じますよ。
こちらも衛生関係と同じで、家庭でも活かせるスキルですね!
④催事の準備
デパートとかで「北海道フェア」など、フロアの1区画を使って色んなお店が出店しているイベントみたいなものを見たことがありませんか?
こういった会場では、各お店ごとに流し台やコンセントが必要になる場合がありますので、それらの設置をしたこともあります。
流し台は簡易的なものですが、結構重量がありますので持ち運ぶのが大変でした。
また、コンセントはケーブルがむき出しですと危ないので、モールという保護カバーを床に設置して各お店が利用する箇所まで配線していました。
催事の準備や撤去は施設が営業終了してからでないと出来ないため、必ず残業になっていたので嫌いでした・・。
⑤避難訓練
全ての商業施設が該当するわけではないと思いますが、私が配属されていた現場では火災が発生した場合を想定して、月に1回テナントの人も交えて避難訓練をやっていました。
営業開始前に各テナントから代表者数名に参加してもらい、ビルメンがテナントの人に説明しながら避難経路の確認や実際に避難口まで誘導をします。
結構声を張って説明をしますので恥ずかしがりの方にはしんどいかもしれません笑
⑥雪かき
雪が降った日は雪かきをします・・。
前日から大雪が降るとわかっている場合は、事前に融雪剤を撒いたりして対応したりもします。

ビルメンの仕事は建物がいつも同じ状態で使用できるように維持管理することです。雪が積もっていたら、建物が通常どおり使えませんので雪かきをしないといけません。
⑦雑用
他にも色んな雑用を頼まれることがあります。
中にはビルメンがやる必要のない小修繕もありました。
例えば、「掃除機が壊れたから見て」、「プリンターを買ったから設置して」、「踏み台が壊れたから直して」、「虫が発生したからとりあえず来て」などなどいくらでも出てきます。
商業施設ビルメンはイレギュラーなことが起きやすいものだと思っておきましょう。
ただ、雑用に関しては全部出来る必要はないので安心してください。
営繕が出来ないとマウントを取ってくる同僚もいますが、本来の業務は設備の維持管理なので、出来ないものは出来ないでも良いと思っています。

人には得手不得手があります。最低限ビルメンがしなくてはいけない業務を優先して覚えていき、苦手なことは少しずつ経験していけばいいと思いますよ。
商業施設ビルメンになる方へアドバイス
配属された直後はOJTで、先輩と一緒に日常巡回のコースを回ることになります。
巡回しながら各設備の運転方法などを教えて貰えますが、機械室は各設備が駆動している音がうるさく声が先輩の説明が聞き取りにくい場合もありますので、その場ではスマホで写真を撮ったりメモをしたりするなどして、事務所に戻ってからもう一度先輩に運転方法の確認をしましょう。
写真付きのマニュアルがある現場なら良いのですが、商業施設ビルメンは忙しいためか私の配属されていた現場にはマニュアルは皆無でした・・。
なので、自分でマニュアルを作成するくらいの気持ちで業務を覚えていったほうが良いと思います。
また、日常巡回コースを覚えるのと並行して、各フロアにどんなテナントが入っているかを覚えるのも重要です。
営繕の依頼が来た時に、テナントの場所がわからないと現場へすぐに駆け付けつけることが出来ませんからね。
各テナントの場所はフロアガイドを貰って施設内を巡回しながら覚えましょう。
入社してすぐの頃は、上記の内容に注意して仕事に慣れていけば良いと思います。
覚悟してほしいこと
商業施設ビルメンになるうえで覚悟しておいてほしいことを紹介します。
業務量
私は2か所で商業施設ビルメンを経験していますが、やはり商業施設は業務量は多くなりがちです。
以下が業務量の多くなる理由です。
- 施設内に多くのテナントが入居している
- 飲食店が入っているため、電気・水回り系のトラブルが増える
- 不特定多数のお客さんが来館するため設備が壊されやすい
コミュ力
ビルメンは人と話す機会が少ないと思って入社してくる方もいると思います。
確かにほとんど人と話す機会がない現場もあるのですが、配属現場が商業施設の場合はかなりコミュニケーションをとる機会があると思った方が良いです。
というのも、商業施設はテナントからの営繕対応の依頼が多く、お店のスタッフの人とコミュニケーションを取る機会が頻繁にあります。
営繕の依頼は電話で来ることもありますので電話対応も必要になってきます。
誰からの連絡で、どこで、どんなトラブルが起きていているのかくらいが聞ければ十分ですが、慣れていないと緊張して出来ないかもしれません。
私が配属されていた現場でも、電話対応が苦手という人は結構いました。
残業
現場にもよりますが、残業も結構あります。
ビルメン=残業無しと思って入社して、配属現場が商業施設だとギャップがすごいかもしれません。
私の配属された現場は月平均20~30時間くらいでしたが、月に50時間以上残業がある現場もあるそうです。
ただし、当直→明け休み→公休サイクルの現場の場合、明けの日の残業によって残業時間が増えている場合もあるため、実はそんなにきつくなかったりします。
※明け残業中は眠いですけど、帰ったら2連休みたいなものですからね。
最後に
色々書いてきましたが、商業施設はビルメンにおける基礎的な業務を一通り学べるのでとても良い環境だと思っています。
ビル管理士の実務経験も積めますので、長く働くメリットもあります。
「商業施設だからハズレ現場だ」「嫌だな」と思わずに、人間関係さえ良ければ上記を参考に前向きな気持ちで働いてみてほしいです。
ちなみに、コミュニケーションが苦手な人はきついかもと書きましたが、コミュ力は数をこなせばマシになっていきますので、自ら進んで電話をとるくらいの気持ちで頑張ってみてください。
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