キヨシ電気工事士の学科試験って、令和9年度からCBTだけになるんですよね?
CBTになると何が変わるんですか?
電気技術者試験センターから、電気工事士の学科試験を令和9年度から原則CBT方式に移行するという発表がありました。
この記事では、試験センターの発表内容と電気工事士のCBT方式の中身を整理したうえで、CBTになって何が変わるのか、受験する前に知っておきたい注意点と対策を解説します。
- 電気工事士(第一種・第二種)の学科試験は、令和9年度から原則CBT方式のみになる
- 一番の注意点は、問題用紙に直接書き込めないこと。配線図や計算の問題で影響が出やすい
- 電工は1科目だけなので、電験三種のような「科目を分けて受験できる」メリットはない
- 一方で、日程を選べるので、試験日にどうしても外せない用事がある忙しい社会人にはありがたい制度
- 体験版で操作に慣れて、問題に書き込まずに解く練習をしておけば、CBTでも十分合格できる
電気工事士の学科試験は令和9年度からCBT方式に移行
まずは、今回の発表の中身から確認しましょう。
電気技術者試験センターは、令和8年4月8日付けで「電気工事士学科試験(第一種・第二種)は、令和9年度(2027年度)より原則としてCBT方式に移行する」と発表しています。
- 対象:第一種電気工事士・第二種電気工事士の学科試験
- 時期:令和9年度(2027年度)の上期・下期から
- 筆記方式(マークシート):災害などで通信ネットワークに障害が起き、CBTの実施が難しい場合に限り、必要に応じて実施
つまり、令和9年度からは普通に申し込めば学科試験はCBTで受けることになるということです。
令和8年度と令和9年度以降の実施方式
| 試験 | 令和8年度 | 令和9年度以降 |
|---|---|---|
| 第一種(上期) | CBTのみ | CBTのみ |
| 第一種(下期) | CBT・筆記 | CBTのみ |
| 第二種(上期) | CBT・筆記 | CBTのみ |
| 第二種(下期) | CBT・筆記 | CBTのみ |
第一種の上期は、令和8年度の時点ですでにCBTのみでした。令和9年度からは、第二種も含めてすべての学科試験がCBTにそろう形です。
なお、令和8年度下期の第二種の筆記方式は10月25日に実施されます。すでに筆記方式で申し込んでいる方にとっては、これが原則として最後の筆記方式の試験になります(申込受付は9月3日で終了しています)。



今回の発表は学科試験の話です。
技能試験はこれまでどおり、実際に作品を作る試験ですね。
電気工事士のCBT方式の概要
CBT方式は、全国のテストセンターに置かれたパソコンで受験する方式です。電気工事士の学科試験のCBTの概要をまとめると、次のとおりです。
| 出題形式 | 四肢択一式・50問(筆記方式と同じ) |
| 試験時間 | 第一種:140分 第二種:120分 |
| 合格基準 | 60点(50問中30問正解) |
| 電卓 | 使用不可(筆記方式と同じ) |
| 筆記用具 | ボールペン(黒)とメモ用紙を会場で貸与 |
| 持ち物 | 顔写真付きの公的な身分証明書 |
| 試験後 | 画面に正答数が表示される(合否は後日) |
| 問題の持ち帰り | 不可 |
CBTの受験期間は、筆記方式のように1日だけではなく、数週間にわたって設けられています。たとえば令和8年度下期の第二種は、9月24日〜11月8日がCBTの受験期間でした。この期間の中から、自分で会場と日時を選んで予約します。
試験センターのホームページには、第一種・第二種それぞれのCBT体験版が公開されています。画面の操作に不安がある方は、一度触っておくと安心です。
CBTで受験する人は年々増えている
第二種電気工事士の学科試験でCBT方式が始まったのは、令和5年度からです。試験センターが公表している受験者数の内訳から、CBT方式で受験した人の割合をグラフにしました。


| 試験 | 受験者数 | うちCBT方式 | CBTの割合 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度上期 | 70,414人 | 8,221人 | 11.7% |
| 令和5年度下期 | 63,611人 | 8,980人 | 14.1% |
| 令和6年度上期 | 70,139人 | 10,730人 | 15.3% |
| 令和6年度下期 | 62,323人 | 11,143人 | 17.9% |
| 令和7年度上期 | 70,945人 | 14,090人 | 19.9% |
| 令和7年度下期 | 68,142人 | 13,583人 | 19.9% |
| 令和8年度上期 | 78,290人 | 36,447人 | 46.6% |
令和7年度までは、CBTで受験する人は2割にも届いていませんでした。それが令和8年度上期には一気に増えて、受験者の半分近く(46.6%)がCBT方式になっています。
この時期に重なるのが、CBTの受験期間の延長です。試験センターは令和8年度から「受験機会を増やすため」として、第二種のCBTの受験期間を大幅に延ばしています。
| 第二種のCBT受験期間 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 上期 | 4月21日~5月8日 (18日間) | 4月23日~6月7日 (46日間) |
| 下期 | 9月19日~10月6日 (18日間) | 9月24日~11月8日 (46日間) |
18日間から46日間と、2.5倍以上に延びています。選べる日程がこれだけ増えれば、CBTを選ぶ人が増えるのも自然だと思います。ただし、試験センターがCBTが増えた理由を公表しているわけではないので、あくまで私の見立てです。
とはいえ、令和8年度上期の時点でも、半分以上の人はあえて筆記方式を選んでいたことになります。令和9年度からは、この筆記派の人たちもCBTで受けることになるわけです。
CBTの注意点:電験三種と違って電工はデメリットが目立つ
ここからが本題です。
私は電験三種については、特別な理由が無い限りはCBT方式が絶対だとオススメしてきました。


ところが、電気工事士の学科試験については、正直に言うと「どちらでもいい、もしくは筆記のほうが良かった」と考えています。令和9年度からは筆記を選べなくなるので、CBTで受ける人に知っておいてほしい注意点を2つ紹介します。
注意点①電工は1科目だけなので、電験のようなメリットがない
電験三種でCBTをオススメしている一番の理由は、科目を分けて別々の日に受験できることです。
電験三種は理論・電力・機械・法規の4科目があり、筆記方式だと1日で4科目をまとめて受けることになります。CBTなら、たとえば「理論はこの日、機械は1週間後」のように日を分けられるので、科目ごとに集中して仕上げられます。体力的にもかなり楽です。
一方で、電気工事士の学科試験は50問を1回で解く1科目だけの試験です。分けて受ける科目がそもそも無いので、電験で一番大きかったCBTのメリットが、電工ではまるごと無くなってしまいます。
注意点②問題用紙に直接書き込めない
CBTでは問題用紙が配られません。問題はパソコンの画面に表示されるので、問題に直接書き込むことができないのです。
メモ用紙は貸してもらえますが、問題を画面で見て、メモ用紙に書いて、また画面に戻る、という行き来が必要になります。これが電工の学科試験だと、結構なデメリットになると私は考えています。
- 配線図の問題:筆記なら図面に直接線を引いたり、印をつけたりしながら考えられる。CBTでは必要な部分をメモ用紙に写すか、頭の中で処理するしかない
- 計算問題:電卓が使えない試験なので、筆算は必須。問題文の数値や回路図を手元で確認しながら計算できる筆記のほうがミスしにくい
- メモ用紙が限られている:CBTで受験した人のブログによると、配られるメモ用紙はA4の1枚(両面)だけ。複線図を大きく書きすぎるとスペースが足りなくなるおそれがある
ほかにも、「配線図を拡大しても、次の問題に移ると拡大がリセットされる」という受験者の声もありました。筆記なら問題用紙を見たまま線を書き込めるので、こういう手間はかかりません。
私が電工二種を受けたのはもう20年ほど前なので、当時の細かいことは覚えていません。ただ、試験問題に直接書き込めたほうが有利なのは間違いないと思っています。



電験なら科目分割のメリットがこのデメリットを上回るのですが、電工だとデメリットだけが残ってしまうんですよね…。
CBTになって良くなる点もある
公平のために、CBTの良い点も紹介しておきます。試験センターの案内や、実際にCBTで受験した人の口コミで挙げられているのは、次のような点です。
- 試験会場と日時を選べる:受験期間の中から都合のいい日時と会場を選べて、予約したあとに変更もできる(空きがある場合)
- 試験が終わってすぐに正答数がわかる:自己採点をしなくても合格ラインに届いたかがわかるので、技能試験の準備にすぐ取りかかれる
- マークシートのミスが起きない:解答欄のズレや塗り忘れ、二重解答を防ぐ仕組みがある
- 見直したい問題に印をつけられる:画面上で問題にマークをつけておき、あとでまとめて見直せる
- 自分のタイミングで退出できる:見直しが終わったら、試験時間が残っていても終了して帰れる
- 静かな環境で受けられる:受験した人のブログでは、静かで集中できた、思っていた以上に快適だった、という感想が見られる
- 早い日程を選べば、技能試験までの期間を長く取れる:たとえば令和8年度上期の第二種は、筆記方式が5月24日だったのに対し、CBTは4月23日から受けられた
特に、正答数がすぐわかる点と、技能試験までの準備期間を長く取れる点は、たしかに便利だと思います。電工二種は技能試験のほうで苦戦する人も多いので、学科を早めに片付けられるのはありがたいですね。
ただ、これらのほとんどは「受験しやすさ」のメリットで、問題そのものが解きやすくなるわけではありません。合格しやすさだけで比べると、問題に書き込める筆記のほうが有利だったというのが私の考えです。だからこそ、CBTで受ける人は「書き込めない」ことへの対策が大事になります。
ただし、忙しい社会人にとってはCBTはありがたい
ここまで注意点を中心に書いてきましたが、CBTに移行して助かる人もいます。それは、試験日にどうしても外せない用事がある社会人です。
筆記方式は試験日が上期・下期それぞれ1日だけなので、その日に仕事や用事が入ってしまうと受験できません。ビルメンのようにシフト勤務や当直がある仕事だと、試験日に休みを取れないこともよくあります。



ビルメンあるあるですが、試験日に定期点検の立ち会いが重なってしまうことは本当にあります。
業者さんの日程はこちらの都合だけでは動かせないんですよね…。
もっとひどいケースだと、現場の意地悪な所長が、受験することを知っているのにわざと試験日に夜勤シフトを入れてくる、なんてこともあります。筆記方式だと、これをやられたらその回の受験はあきらめるしかありません。
CBTなら、令和8年度の第二種で46日間ある受験期間の中から、自分の都合に合わせて日時を選べます。予約したあとに予定が変わっても、空きがあれば日時を変更できます。こういう人にとってはCBTに移行してよかったと感じるはずです。
また、ほかの資格試験と日程が近い場合も、CBTで受験日を前倒しすることで勉強時間を確保しやすくなります。電工二種と冷凍機械責任者を同じ年に受ける場合の考え方は、こちらの記事で解説しています。


令和9年度からCBTで受ける人がやっておくべき対策
令和9年度からは、好き嫌いに関係なくCBTで受けることになります。問題に書き込めないデメリットは、事前の準備でかなり小さくできます。
- 体験版で画面操作に慣れておく
試験センターのホームページにある体験版で、問題の切り替えや解答の選び方を一度試しておきましょう。 - 過去問を「問題に書き込まずに」解く練習をする
過去問を解くときに、問題用紙には何も書かず、別のメモ用紙だけで解いてみてください。本番の感覚にかなり近づきます。 - 配線図問題の解き方を決めておく
どの部分をメモ用紙に写すのか、自分なりのやり方を決めておくと本番で焦りません。 - 会場と日時の予約は早めに
CBTは申し込んだあと、決められた期間内に会場と日時を予約します。土日など人気の枠は埋まりやすいので、予約が始まったら早めに押さえましょう。
学科試験の勉強方法そのものは、筆記でもCBTでも変わりません。電工二種の勉強方法はこちらの記事でまとめています。


よくある質問
- 令和9年度からは筆記方式で受験できなくなりますか?
-
原則としてCBT方式のみになります。筆記方式は、災害などで通信ネットワークに障害が起きてCBTの実施が難しい場合に、必要に応じて実施されるとされています。
- 技能試験もCBTになりますか?
-
今回CBTへの移行が発表されたのは学科試験です。技能試験は、実際に作品を作る試験です。
- CBTでは電卓を使えますか?
-
使えません。電気工事士の試験では、筆記方式でもCBT方式でも電卓は使用できません。ボールペンとメモ用紙は会場で貸してもらえます。
- CBTだと問題数や合格基準は変わりますか?
-
変わりません。四肢択一式の50問で、60点(30問正解)が合格基準です。
まとめ
電気工事士の学科試験は、令和9年度から原則CBT方式に移行します。
電験三種ではCBTを強くオススメしている私ですが、電工については、1科目だけで科目分割のメリットがなく、問題用紙に直接書き込めないので、正直に言うと「どちらでもいい、もしくは筆記のほうが良かった」というのが本音です。
ただ、試験日にどうしても外せない用事がある忙しい社会人にとっては、日程を選べるCBTはありがたい制度だと思います。



令和9年度からはCBTしか選べないので、問題に書き込まずに解く練習をしておきましょう!
準備しておけば、CBTでも十分合格できますよ。




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