キヨシ空気環境測定ってなんですか?ビルの空気なんか測って意味はあるの??



意味は大ありです!たくさんの人が長い時間を過ごすビルでは、空気がきれいに保たれているかを定期的に確かめることが法律で決められているんです。
私も現場で何度も立ち会ってきたので、何を測るのか、どうやって測るのかを解説しますね。
この記事では、ビルメン歴10年以上の私が、建築物衛生法(ビル管理法)の決まりと現場での経験をもとに、空気環境測定の測定項目・基準値・測り方・測定器を、図を使って解説します。
- 空気環境測定は、延べ面積3,000㎡以上の事務所や店舗など(特定建築物)で、建築物衛生法により義務付けられている
- 測るのは、浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流・ホルムアルデヒドの7項目
- ホルムアルデヒド以外の6項目は2か月以内ごとに1回。ホルムアルデヒドは新築や大規模な改修のあとの夏に1回
- 2022年4月から、一酸化炭素は6ppm以下、温度は18℃以上に基準が変わった
空気環境測定とは?



法律で決まってるって、どんなビルでも測らないといけないんですか?



全部のビルではありません。ある程度大きくて、たくさんの人が使うビルが対象です。
空気環境測定は、ビルの中の空気が「建築物環境衛生管理基準」に合っているかを確かめるための定期的な測定です。建築物衛生法では、多くの人が使う一定以上の大きさの建物を特定建築物と呼び、空気環境の調整や給排水の管理、清掃などを決まった基準で行うよう求めています。空気環境測定はそのうちの一つです。


対象になる建物(特定建築物)
| 用途 | 延べ面積 |
|---|---|
| 興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、旅館、学校(下の学校以外。研修所を含む) | 3,000㎡以上 |
| 学校教育法第1条に規定する学校(小学校・中学校・高校・大学など) | 8,000㎡以上 |
面積には、事務所や店舗の部分だけでなく、廊下・階段・トイレ・機械室などの共用部分や、専用の倉庫・駐車場なども含めて数えます。オフィスビルや商業施設でビルメンとして働くなら、担当する建物の多くが特定建築物にあたると考えてよいでしょう。
空気環境測定の7つの測定項目と基準値



空気を測るって、具体的に何を測るんですか?



全部で7項目あります。基準値はビル管理士の試験でも問われるので、受験予定の方は表ごと覚えてしまいましょう。
| 測定項目 | 基準値 | どんなものか |
|---|---|---|
| 浮遊粉じんの量 | 0.15mg/㎥以下 | 空気中に漂っている細かいほこり |
| 一酸化炭素(CO) | 6ppm以下 | 物が燃えるときなどに出る有毒なガス |
| 二酸化炭素(CO2) | 1,000ppm以下 | 人の呼吸で増える。換気が足りているかの目安 |
| 温度 | 18℃以上28℃以下 | 部屋の暑さ・寒さ |
| 相対湿度 | 40%以上70%以下 | 空気のしめり具合 |
| 気流 | 0.5m/秒以下 | 部屋の中の風の強さ |
| ホルムアルデヒドの量 | 0.1mg/㎥以下 | 建材や家具などから出ることがある化学物質 |


なお、2022年4月1日の改正で、一酸化炭素は「10ppm以下」から「6ppm以下」に、温度は「17℃以上」から「18℃以上」に変わりました。古い本やサイトでは改正前の数字のままのことがあるので注意してください。また、機械換気設備(温度や湿度を調整しない換気だけの設備)の建物では、温度と相対湿度の基準は適用されません。
空気環境測定の測り方:いつ・どこで・どうやって



部屋のどこで測ってもいいんですか?



測る場所も高さも決まっています。適当に測ると、正しい結果になりませんからね。
- いつ:ホルムアルデヒド以外の6項目は、2か月以内ごとに1回。建物を普段どおり使っている時間に測る
- どこで:各階ごとに、居室の中央部で測る
- どの高さで:床から75cm以上150cm以下(座っている人や立っている人が吸う空気の高さ)
- 1日に何回:一般的には1日2回(始業後から昼ごろ、昼ごろから終業前にかけて)。浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素は、1日の平均値で基準と比べる
- 記録:測定結果は5年間保存する


ホルムアルデヒドだけは測るタイミングが違い、新築・増築・大規模修繕・大規模な模様替えをしたあと、使い始めてから最初にやってくる6月1日〜9月30日の間に1回測ります。
測定の日にビルメンがすること
管理する施設にもよりますが、空気環境測定ではテナントの専有部に入ることもあるため、事前にテナントへお知らせを出しておく場合があります。また、測定器は充電式なので、前日のうちに充電しておきます。
当日は、午前と午後に1回ずつ測定します。測るルートと測定ポイントは決まっているので、その順番に館内を巡回しながら測っていきます。テナントがいない時間帯に専有部を測るときは、鍵を開けて入室します。トラブルを避けるためにも、こうした場合は事前に知らせておくほうが安心です。
かかる時間は建物の広さによるので、一概には言えません。広い現場だと、1日がかりになることもあります。



見慣れない機械を台車に載せて、1か所で1分間じっと測っているので、テナントさんやお客さんから「何をしてるんですか?」とよく聞かれるんですよね。


空気環境測定に使う測定器



7項目もあったら、測る機械もたくさん必要なんですか?



昔は項目ごとに別々の機器で測っていたので、台車にいろんな器具を載せて運ぶのが大変でした。今は6項目を1台で測れる測定器があって、うちの現場ではカノマックスの測定器を使っています。
測定器は大きく分けて、項目ごとに別々の器具を使う昔ながらの方法と、6項目をまとめて測れる一体型の2種類があります。ここでは、測定器の基本的なしくみと、主なメーカーの代表的な製品を紹介します。


昔ながらの測り方:検知管
一酸化炭素と二酸化炭素は、もともと「検知管」というガラス管で測るのが基本でした。ポンプで検知管に空気を吸い込むと、管の中の薬剤が色を変え、その色が変わった位置の目盛から濃度を読み取ります。手軽に測れる反面、検知管は1本ずつ使い捨てなので、測定ポイントが多いビルでは費用がかさみ、ガラスのごみも出ます。



私は使ったことが無いですけどね笑
主なメーカーと代表的な測定器
| メーカー | 製品 | 測り方 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 日本カノマックス | オートビルセットⅢ(Model 2100) | 6項目を1台 | タッチパネル式の大きなカラー画面。付属ソフトで報告書を自動作成 |
| 日本カノマックス | ビルセットマスター | 6項目を3台 | 一式をケースに入れて持ち運べる。検知管を使わないので、消耗品とごみを減らせる |
| 柴田科学 | 室内環境測定セット IES-5000型 | 6項目を1台 | 小型で持ち運びやすい。内蔵の粉じん計は日本建築衛生管理教育センターで較正を受けられる |
| フローシステム | ビルフロー(BiLFlow) | 6項目をまとめて | ワンタッチで6項目を約1分で測定。手書きのメモやパソコンへの打ち込みが不要 |
※2026年11月時点で各社のページなどで確認した内容です。
浮遊粉じんを測る機器(粉じん計)は、どのメーカーのものでも、厚生労働大臣の登録を受けた機関で1年以内ごとに1回較正を受ける必要があります。
日本カノマックス「オートビルセットⅢ」


引用元:日本カノマックス「オートビルセットⅢ Model 2100」
気流・粉じん・温度・湿度・CO・CO2の6項目を、1台で同時に測れるタイプです。図4でいうと、①の表示部がタッチパネル式の大きなカラー画面になっていて、測った結果は付属のソフトでそのまま報告書にできます。本体にUSBメモリーを差してデータを取り出すこともできるので、測定後に数字を手で打ち込む手間がかかりません。測定ポイントが多いビルほど、この差は大きくなります。
販売店での価格は税込120万〜130万円ほど(2026年11月時点の例)と高価なので、個人で買うものではなく、会社や測定業者がそろえる機器です。
日本カノマックス「ビルセットマスター」


こちらは1台ではなく3台の機器で6項目を測るセットで、一式をキャリングケースに入れて持ち運べます。COとCO2を検知管ではなく機器で測れるので、検知管の費用やガラスのごみが出ないのが利点です。
柴田科学「室内環境測定セット IES-5000型」


引用元:柴田科学「ビル管理」
オートビルセットⅢと同じく、6項目を同時に測って報告書まで作れる一体型です。特徴は、中に入っている粉じん計が日本建築衛生管理教育センターの較正を受けられること。粉じん計は1年以内ごとに較正が必要なので、較正の手配がしやすいかどうかは、機器を選ぶときの大事なポイントです。
フローシステム「ビルフロー(BiLFlow)」


ボタンを押すと、6項目をまとめて1分ほどで測れるセットです。測った数字は本体に記録されるので、現場で手書きのメモを取ったり、あとでパソコンに打ち込んだりする必要がありません。粉じん計には柴田科学の機器が組み合わされていて、照度計や騒音計をつないで一緒に記録することもできます。
空気環境測定は誰が測るの?



測るのはビルメンの仕事なんですか?



現場によって違います。私が働いてきた現場でも、自社で測るところと、外注しているところの両方がありました。
空気環境測定は、ビルの管理会社が自分たちで行う場合と、専門の業者に任せる場合があります。
都道府県に「建築物空気環境測定業」として登録している業者では、測定する人は「空気環境測定実施者講習」を修了した人(6年ごとに再講習)か、ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の免状を持つ人と決められています。
ビル管理士は、こうした測定の結果を評価して、建物の環境衛生を監督する立場の資格です。空気環境測定はビル管理士試験の範囲にも入っています。


基準値を超えたらどうなる?【罰則について】



基準値を超えちゃったら、罰を受けるんですか?



すぐに罰則というわけではありません。大事なのは、原因を探して空調や換気を直すことです。
建築物環境衛生管理基準は、快適な環境の実現を目的とした高い水準の基準なので、基準に合っていないというだけで、すぐに行政の措置や罰則の対象になるわけではありません。都道府県知事が改善命令や使用停止を出せるのは、基準に従っておらず、かつ人の健康を損なう、または損なうおそれのある事態などがあるときです。ただし、基準を外れた項目があれば、空調や換気の設定を見直して改善するのがビルメンの仕事です。
たとえば、冬は暖房で空気が乾くため、相対湿度が40%を下回りやすくなります。国の研究でも、冬の調査ではほとんどの建物で相対湿度が40%を下回っていました。ホルムアルデヒドが基準を超えた場合は、外気を多く取り入れるなどして濃度を下げ、翌年にもう一度測ります。
ちなみに、建築物衛生法には罰則もあります。都道府県知事の改善命令などに従わなかった場合や、測定結果などを記録する帳簿書類を備えていなかったり、うその記載をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象です(第16条)。違反した担当者だけでなく、会社にも罰金が科されます(第17条)。基準値を外れたときも、ごまかさずにそのまま記録しておくことが大切です。



私の現場では、基準を外れたら測り直すこともありました。それでも室温や湿度は、どうしても基準を守れないことがあるんです。そういうときは、そのまま記録として残していました。
ただ、一酸化炭素が異常に多いような場合は話が別です。人の健康に関わるので、すぐに原因を調べるべきですね。
なお、こうした建築物衛生法の罰則は、ビル管理士試験(建築物衛生行政概論)でも出題される内容です。受験する方は、どんな違反が罰金の対象になるのかを押さえておきましょう。


空気環境測定のよくある質問
空気環境測定はどのくらいの頻度で行いますか?
ホルムアルデヒド以外の6項目は、2か月以内ごとに1回です。年に6回測ることになります。ホルムアルデヒドは、新築や大規模な改修のあと、最初の6月1日〜9月30日に1回測ります。
一酸化炭素の基準値は10ppmではないのですか?
2022年4月1日の改正で、10ppm以下から6ppm以下に変わりました。同じ改正で、温度の下限も17℃から18℃に変わっています。
空気環境測定に資格は必要ですか?
空気環境測定業として都道府県に登録している業者では、空気環境測定実施者講習の修了者か、ビル管理士の免状を持つ人が測定を行います。ビルの管理会社が自社で測る現場もあります。
まとめ
空気環境測定は、たくさんの人が使うビルの空気を、法律で決まった7つの項目で定期的に確かめる仕事です。
基準値は2022年に一部が変わっているので、古い情報で覚えないようにしましょう。ビルメンとして働くなら、測定の立ち会いや、基準を外れたときの空調・換気の調整に関わる機会があるはずです。



防災センターで引きこもってるより、外で点検んしてるほうが楽しいので、私は空気環境測定が好きです。
ただし、フロアの移動に階段を使うことが多いので、この大きな機材をもって移動するところがネックですね。
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