巡回型ビルメンについて解説します。
今回は私がビルメンの勤務形態の中で最も恐れている巡回型ビルメンについて、私の所属していた会社の話も交えて書いていきたい思います。
楽をするためにビルメンを目指す方は、巡回型ビルメンだけは避けましょう。
巡回型ビルメンとは
常駐型ビルメンと対になる用語で、常駐型ビルメンが1か所のビルに常駐してビルを管理していく働き方なのに対して、巡回型ビルメンは小規模のビルを複数棟同時に管理していくビルメンになります。
そのため、点検やメーター検針をする場合は、点検対象のビルまで移動をしなければいけません。
移動方法は、電車、自転車、車など様々です。
私は2つの会社で巡回型ビルメンを経験しており、移動手段はそれぞれ自転車(悪天候の場合は電車)、車を使用していましたが、これから巡回型ビルメンをやる方に勧めるのであれば、個人的には車の方が楽かなと思います。
車が良い理由ですが、巡回型ビルメンはビルを巡回点検中に不具合を発見した場合、簡単なものであればその場で応急修理をします。
そのため、ある程度何でも対応出来るよう工具を大量に入れて持ち歩いているのですが、これが結構重いうえに嵩張ります。
自転車や電車で、工具を大量に入れた重いリュックを背負って移動するのはしんどいですよね?
これが、車移動であれば荷物をいくらでも積めるのでかなり楽ですよね。
車で巡回してたときは、漏水の応急対応も出来るようにペットのトイレシートなんかも積んでました。
車のデメリットは、事故を起こす可能性があることと、駐車場(コインパーキング)を探すのが大変なことがあげられます。
主な業務内容
A社
ここは系列系ビルメン会社でした。
所長など含めて8名在籍しており、実際にビルを巡回するのは6名でした。
ちなみに、巡回ビルメンチームはエリアごとに分かれており、所属するチームごとに管理事務所がそれぞれ設けられています
管理事務所は小さなオフィスビルの1フロアみたいなものを想像してください。
テナントからの不具合報告の電話も時間外でなければ、事務所の固定電話へ連絡が入る運用になっていました。
それぞれが担当物件を4、5件ほど持ち、月の点検のスケジュールなどを決めて動いていました。
業務内容は以下のようなものがあります。
- 各物件に対して水光熱検針で月に1回訪問。そのときにビル内全体を巡回。
- ビルの法定点検(消防設備点検、水槽の清掃、電気工作物の停電作業など)の立ち合い。
- 空調が効かない、共用部の蛍光灯が切れた、水漏れがするなど大小様々なトラブルの対応。
- 3か月に1回程度、ビルオーナーと定例会。お金持ちの婆さんや変な外国人みたいなオーナーにビルの点検結果の報告や、今後の改修の提案をします。私はこれが嫌でした・・。
- 各ビルの移動手段は自転車か電車。
ちなみに、緊急対応時に現場で対応できない不具合は、専門業者に見積りをとって、そこに自分の会社の利益をのせてビルオーナーに修理の提案をする流れになります。
休みは、基本的に土日祝ですが、土日しかできない工事があれば、休日出勤し立ち会うこともありました。
そのときの代休は、取ったり取らなかったりって感じです。

忙しすぎて代休を全然取れてない人もいました。年間休日120日の会社でしたが、実際の休みは100日くらいだったと思います。
また、勤務時間外にトラブルが起きたら、本社の時間外コールセンターに連絡が入るようになっているのですが、テナントやオーナーによってはそんなことお構いなしに常時持たされている会社携帯に連絡がかかってくることもありました。
とにかく管理しているビルが古いものばかりで、小さな修繕で呼び出されることが多く頻繁に残業になっていた記憶があります。
B社
こちらは独立系のビルメン会社でした。
こちらの場合は大型物件に常駐しながら、付近の小規模ビルの巡回管理をしていました。
大型物件常駐ですが、勤務はシフト制ではなく平日日勤のみでした。
今回は常駐ビルの方は割愛し、巡回ビルメン業務の部分だけに限定して業務内容をあげます。
- 各物件に対して水光熱検針で月に1回訪問。そのときにビル内全体を巡回。
- 空調が効かない、共用部の蛍光灯が切れた、水漏れがするなど大小様々なトラブルの対応。
- 巡回物件への移動手段は社用車。
また、会社携帯は持っていましたが、ビルオーナーやビルテナントから時間外に電話がかかってくることはなかったです。
というのも、この会社の場合はビルオーナーとの折衝は営業担当がやってくれましたし、テナントからのトラブル連絡は一旦本社のコールセンターへ連絡するように徹底されていたからです。
なので、勤務時間外に会社携帯が鳴ることは同じ会社の人からの緊急連絡以外ではなかったです。
ちなみに法定点検(年次停電作業など)の立ち合いは、工事部門の人がやってくれてました。
巡回の日は、丸一日巡回業務に専念できるので、お昼ご飯を外で食べたりして結構楽しかったです。
もちろん巡回の日は水光熱検針があるので二人で巡回が基本でした。
なので、巡回中に何かトラブルがあっても相談しながら進められました。
こちらの会社でもビルメンで対応できない設備トラブルは業者に見積をとって利益をのせてオーナーに提出しますが、オーナーとの折衝は営業担当がやってくれるので、基本的に我々は初期対応+見積作成まででOKでした。
なので、こっちの会社の巡回ビルメンは、巡回、一時対応、検針がメイン業務になるので結構楽だと思います。
他のビルメン会社はどうか?
ネットで調べてみましたが、もっとたくさんの担当物件を持たされて、一日に何件も巡回し同時にオーナー、テナントとの折衝もあるような大変な会社もあるようです。
そこまでやってると、ビルメンじゃない気がするので、普通のビルメンと同じ給料ベースだと割に合わない気がします。
私は常駐ビルメンの暇な現場を経験してしまったので、少数でも担当物件を持たされるだけでプレッシャーがすごかったです。
あと、私は巡回ビルメンで夜勤は経験してませんが、日勤、夜勤のシフト制の巡回ビルメンも当然いるようです。
夜間に警報などが発生した場合は、社用車で担当ビルへ向かったりもするようですね。
業務範囲とかは会社によって違うと思いますので、巡回ビルメンでもマッタリ仕事できる会社もあるかもしれませんが、平均的に見ると移動時間が長い、残業が多い、事務作業が多い、責任が増えるなど常駐と比べると大変な部分が多いという意見が見受けられました。
ただ、メリットもあるようで、常駐みたいにずっと同じ事務所にいるわけではないので、社内の人間関係のストレスが少ないという意見も多かったです。
私の巡回ビルメンに対するイメージ
私は最初に働いた系列系会社の巡回ビルメンのイメージが強く、良いイメージがないです。
そこの部署は所長がパワハラ気味の人で、オーナーに対して修繕や設備更新の見積もりを提案して、その受注が取れないと、週1回の定例会でみんなの前で吊るし上げて怒るような人でした。
ビルオーナーにも予算の都合とかあるでしょうし、ビルメンである我々がどうこう出来るもんでもないだろうといつも思っていたのですが、その所長はお構いなしに詰めてくる感じでした。
なので、私の中では巡回ビルメン=ブラック営業みたいなイメージがついてしまいました。
巡回ビルメンにある、社内の人間関係のストレスが少ないってのも、週一の定例会のせいであまり関係なかったです。
私は在職期間も短かったので、直接怒られることは無かったのですが、周りの人が怒られてるのを見るのも辛かったです。
B社で担当した巡回ビルメンは、常駐物件を管理しながら小規模ビルを巡回管理するものでしたので、巡回ビルメンと呼べるかわかりませんが、担当している業務は巡回、検針、小修繕まででしたのでマッタリ仕事ができました。
なので、こっちの会社の巡回ビルメンでしたら楽かなと思います。
あと、ネットの情報ですと巡回型ビルメンは人間関係のストレスは少な目と書かれていましたが、水光熱検針とかは二人で行くことが多いと思いますので、やばいやつとペアだと逃げ場がないのでかなりきついです。
巡回型ビルメンを回避する方法
ここまで読んだ方であれば、おそらく巡回型ビルメンになりたいと思わないでしょう。
では、巡回型ビルメンに配属されることを回避する方法はあるのか?
私も色々考えましたが、完全に回避する方法はないと思います。
しかし、巡回型ビルメンに配属される可能性を下げる方法はあると思いますので、そちらをご紹介していきたいと思います。
求人を検索するとき
求人を検索する際ですが、入社条件に自動車免許必須と書かれていたら巡回型の部署がある可能性が極めて高いです。
また、自動車免許の事が求人に書いてなくても免許を持っていることを隠して入社した方が無難です。
当然、複数のビルを同時に管理しますって書かれている求人も巡回型ビルメンなので避けましょう。
面接を受けるとき
系列系のように入社するまで配属部署がわからない会社もあります。
この場合、巡回型ビルメンになる可能性が当然あります。
そこで、私の場合は面接で常駐管理で働きたいと正直に伝えます。もちろん正当な理由が必要ですので、以下のように伝えています。
「一か所のビルに常駐して設備について深く勉強していきたい。巡回部署だと設備の知識を深めることが難しいので常駐物件で働きたいです。」みたいな感じで、設備の専門家を目指したいアピールをしています。

これを使うには設備に興味があるアピールが必要なので、最低でも4点セットは必要です。設備の勉強したいと言っておきながら、資格を全然持ってないと説得力が無いですからね。
また、転職エージェントを使って転職活動をしている場合は、転職エージェントの担当者にも常駐物件でしか働きたくない旨を事前に伝えておき、面接の前にエージェントからビルメン会社のほうに自分の希望を伝えてもらっています。
※エージェントには遠慮なく希望を伝えちゃいましょう!
ここまでしておくと、巡回型ビルメンを避けられる可能性がだいぶ上がります。
ビルメンで転職活動をする場合、以下の転職エージェントを使ってみてください。エージェントが収入アップのサポートをしてくれます。
入社後
上記の方法により無事に常駐型ビルメンに配属されたあとも部署異動で巡回型ビルメンに配属されてしまうという可能性もゼロではありません。
そこで、電験三種やビル管理士などの難易度の高い資格を取得しましょう。
巡回型の部署って、電験三種やビル管理士など難易度の高い資格を所持している方が少ない傾向にありますので、資格を取得することは一定の効果があると思います。

でも、施工管理系の資格は取らないでね。
工事分門へ異動になる可能性が上がります。
まとめ
私がビルメンを目指した当時(10年ちょっと前)は、求人検索してもそんなに巡回型ビルメンの募集は出てなかったのですが、最近はビルメン会社の求人を検索すると頻繁に巡回型の募集が確認できます。
常駐型ビルメンも巡回型ビルメンも人によって向き不向きがあると思いますので、どちらが良いとかは簡単に言えないかもしれません。
また、巡回ビルメンは残業が多くなる傾向にありますが、常駐でも激務現場だと残業が慢性的に発生するところもありますので、仕事が楽そうというイメージだけで常駐ビルメンを選んでも失敗するかもしれません。
ちなみに、巡回型ビルメンの最大のメリットは、外出できるところですかね。
勤務時間中に小休憩でカフェに行ったりもできるので、ずっと同じ建物に籠りっきりになる常駐型ビルメンとは違うスタイルで仕事ができると思います。

ついでに私用の買い物してもバレませんw
あと、私は鍵を施錠したかどうか後から不安になってくるタイプでして、常駐型ビルメンなら同じ建物にずっといるので確認にすぐ行けますが、巡回型ビルメンだと物件に戻るためにかなり移動時間がかかるので、そういうタイプの人は精神的に結構大変かもしれません。