バイオマス発電所の運転員(オペレーター)の仕事は楽なの?きついの?調べてみました!
ビルメンから転職出来そうな仕事を探していたところ、バイオマス発電所の運転員を発見しました。
下記はヤフー知恵袋に投稿されていた、バイオマス発電所に関する質問です。
バイオマス発電所のオペレーター、保守ってどんなお仕事ですか? 未経験者でも出来ますか?
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11198097021
バイオマス発電所のオペレーター、運転所で監視や遠隔操作の事も有りますし、現場で実際の材料や機械を扱う場合も有ります
どちらもオペレーターと言いますから、仕事内容を良く確認した方が良いです
この手の半公共的な施設は、若干体育会系の雰囲気も有りますが基本はのんびりで長く勤められる処が多いです(原文ママ)
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11198097021
監視や遠隔操作などはビルメンの仕事に近そうですよね。
というわけで、この記事ではバイオマス発電所の役割や仕事内容などを調査したので紹介したいと思います!
発電所なので都市部よりは地方に多い仕事です。
地方住まいでビルメンの仕事が見つからないと言う方にもオススメかもしれません!
バイオマス発電とは?火力発電との違いについて解説
まず、バイオマス発電とはどんなものなのか調べてみました。
名前はよく聞きますけど、具体的にどんな発電方法なのか聞かれると答えられないですよね。
バイオマス発電とは、再生可能エネルギーの一つであり、植物や動物由来の有機物(バイオマス)を燃料として利用する発電方法です。
具体的には、木材(間伐材など)、農業廃棄物、食品廃棄物、下水汚泥、家畜の糞などを燃焼させて蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回すことで電力を生成します。
森林に生えている木々の混み具合に応じて、樹木の一部を伐採することにより、残った木の成長を促す作業を間伐と呼び、その作業で伐採された木材のことを「間伐材」といいます。
建築資材として使うこともありますが、粉砕してチップ化することで内装に使うパーティクルボードに再加工したり、バイオマス発電の燃料として利用されています。
ちなみに、従来からある火力発電もタービンを回して発電しますが、火力発電の場合は化石燃料(石油など)を使っている点に大きな違いがあります。
火力発電とバイオマス発電の違いを表にしてみました。
火力発電 | バイオマス発電 | |
燃料 | 石炭 石油 天然ガス | 木材 農業廃棄物 食品廃棄物 家畜の糞 下水汚泥などの有機物 |
環境への影響 | 燃焼時に大量の二酸化炭素や硫黄酸化物、窒素酸化物などの有害物質を排出。 地球温暖化や大気汚染の原因となる。 | 燃焼時に二酸化炭素を排出するが、使用するバイオマスは成長過程で二酸化炭素を吸収しているため、カーボンニュートラルとみなす。 【例】木材は成長過程で二酸化を吸収して光合成を行う |
技術的な特徴 | 燃料供給が安定しており、大規模な発電が可能。 燃焼効率も高く、発電効率が良いが、環境負荷が大きい。 | バイオマスの収集・加工・運搬が必要であり、燃料供給が地域に依存することが多い。 燃焼効率や発電効率が低い。 |
経済性 | 燃料の価格が変動するため、燃料コストが安定しない場合がある。 大量発電が可能で、既存のインフラが整っているため、現時点では経済的に有利。 | 燃料コストが高くなる場合があり、経済的に競争力を持つには補助金や政策的支援が必要。 ただし、地域資源を活用することで地域経済の活性化に寄与できる。 |
バイオマス発電は再生可能エネルギーとして環境に優しい一方で、経済性や技術的な課題があり、火力発電は大量の発電が可能で経済的ですが、環境への負荷が大きいという特徴があるようです。
バイオマス発電で電気を作る工程
次にバイオマス発電で電気を作るまでの流れについて調べたので紹介します。
なお、文中に掲載している写真は、北海道苫小牧にある「苫小牧バイオマス発電株式会社」から引用しています。
バイオマス発電①「燃料の収集と下処理」
まずは発電に欠かせない燃料の収集です。
先ほども紹介しましたが、バイオマス発電に使用する燃料は、木材、農業廃棄物、食品廃棄物、下水汚泥など多岐にわたります。
収集後は燃焼しやすくするために、乾燥させたり、細かくチップ化したりする処理を行います。
下記は苫小牧バイオマス発電の木材貯蔵場所とチップ化した木材の写真です。
写真引用元:苫小牧バイオマス発電株式会社
大量の木材がありますね!
苫小牧バイオマスでは、100%北海道産の木材だけを燃料として利用しているようです。
このようにバイオマス発電所では運搬のコストなども考慮して、地域で発生した間伐材を利用することが多いようです。
★チップ化【そのまま再生できます】
バイオマス発電②「ボイラーで蒸気を作る」
準備されたバイオマス燃料(今回は木材のチップ)は燃料サイロに一度貯蔵され、そこからコンベアでボイラーに送り込みます。
ボイラーの中に水が通る管が通っており、木材チップの燃焼によって発生した熱エネルギーを使い管内の水を高温高圧の蒸気に変化させます。
この燃焼過程で発生する熱エネルギーが、ボイラー内の水を蒸発させて高温高圧の蒸気を生成します。
※ボイラーの構造は発電所によって違います。
ビルメンでボイラー技士の資格を取得していた人は、バイオマス発電所に転職しても資格を活かせそうですね!
【関連記事】2級ボイラー技士について解説!ビルメンに必要なの?
★燃焼の様子【そのまま再生できます】
バイオマス発電③「蒸気タービンで発電」
ボイラーで作られた高温高圧の蒸気は、タービンに送り込まれます。
蒸気の圧力によってタービンの羽根が回転し、電気エネルギーを発生させます。
写真引用元:苫小牧バイオマス発電株式会社
発電機で生成された電力は、変圧器を通じて適切な電圧に変換され、電力網を通じて家庭や企業に供給されます。
苫小牧バイオマス発電では、特別高圧配電線に送電するために特別高圧用の変圧器で66,000Vまで昇圧しているそうです。
バイオマス発電④「排熱の利用」
燃焼過程やタービンでのエネルギー変換において発生する廃熱も有効利用できるエネルギーです。
例えば、近隣の宿泊施設で利用するお湯を作る、キノコなどの植物の栽培に利用する等、エネルギーを無駄なく利用する工夫をしているそうです。
★以下の動画に出てくるバイオマス発電所では、排熱を利用してキクラゲの栽培をしていました。
日本におけるバイオマス発電の現状と課題
日本では再生可能エネルギーの普及が進む中で、バイオマス発電も重要な位置を占めています。
特に、森林資源の豊富な地域では、木材を主な燃料とするバイオマス発電所が設置され、燃料となる木材の買取や廃熱の有効利用などによって地域経済の活性化にも寄与しています。
また、食品廃棄物や下水汚泥を利用したバイオマス発電も、都市部で導入が進んでいます。
一方で、バイオマス発電にはいくつかの課題もあります。
例えば、安定した燃料供給の確保や、燃料の収集・運搬コストが高いこと、燃焼過程での排ガス処理などが挙げられます。
これらを克服するために必要な技術革新や、効率的な燃料供給システムの構築が今後の課題となっているようです。
2021年頃もウッドショックによって木材価格が高騰し、燃料となる木材の安定供給が出来なくなり稼働停止となったバイオマス発電所があったようです。
再生可能エネルギーとは「絶えず資源が補充されて枯渇することのないエネルギー」と定義されています。
具体例としては、太陽光、太陽熱、風力、地熱、波力、温度差、バイオマスなどのように、エネルギーを生み出すための燃料となる資源が絶えず供給されるものを指します。
バイオマス発電所運転員の仕事内容
次にバイオマス発電所運転員の仕事を、実際の求人を例にして紹介したいと思います!
この求人は令和6年6月時点で建設・設備求人データベースに掲載されていた、某企業のバイオマス運転員の仕事内容を引用しています。
- 発電設備の運転操作・監視、及び運転上の分析・評価
- 日常点検(機器の異常の有無確認、調整、修理、取替など)
- 燃料(木材チップ)の投入、発生する灰の処理
引用元:建設・設備求人データベース
発電設備の運転操作・監視
まず、Aの「発電設備の運転操作・監視」業務ですが、ビルメンの業務でいう中央監視装置のモニター監視に近い内容です。
具体的には、専用のモニターで発電所全体の運転状況をリアルタイムで監視し、各設備の状態や運転データをチェックし、異常が発生した場合には迅速に対応します。
監視は発電所を停止させないためにも重要な仕事で、24時間体制で機器の状況を見守ります。
なお、機器の異常が発覚した場合は、監視員が1次対応を行い、復旧が難しいと判断されれば設備保全専門のスタッフにバトンタッチします。
それでも改善しなければ、専門業者に依頼という流れになるようです。
この辺の流れもビルメンの仕事に近いですね。
以下の写真は苫小牧バイオマス発電の監視室の映像です。
日常点検
次にBの「日常点検」です。
日常点検はビルメンの巡回点検と同じように、発電所内の各機器の点検を行います。
一般的なビルメンが扱うような設備と違い、こういったプラント設備は大規模です。
そのため、日常の巡回点検する箇所も多くなり時間がかかるようです。
日常巡回で異常や劣化が発見された場合は、運転員自ら補修・交換を行うか、専門業者に対応依頼をすることになります。
当然ですが、異常に気付くのが送れると重大な事故に繋がり、発電所が停止するなんてことにもなりかねないので、日常点検も重要な仕事になるようです。
- ボイラー、タービン、発電機、その他発電に必要な設備の外観点検
- 動作音や振動のチェック
- 各種計器(メーター)の確認
- 運転データの記録
- 燃料の貯蔵・供給ラインの確認
- 設備の簡単な清掃
ビルメンの日常点検も同じですよね。
手を抜いて点検していると、後々重大なトラブルが発生してオーナーからの信用を失ってしまいます。
燃料チップ関連の業務
次にCの「燃料チップ関連の業務」です。
ボイラーを運転するためには、燃料となる木材チップの供給が不可欠です。
これら燃料の投入や管理も、バイオマス発電所に勤務する運転員の仕事になるようです。
具体的には、燃料が適切に供給されているかの確認、詰まりや漏れがないかをチェック、貯蔵されている燃料の量が十分に保たれているかなどをチェックします。
このように単純にモニター監視だけすれば良いのではなく、実際に身体を動かして行う作業もあるため、ビルメンと同じようにバランス良い仕事になるようです。
まとめ「バイオマス発電所の運転員は・・」
さて、この記事ではバイオマス発電所の仕事について紹介してみました。
率直な私の感想ですが、ビルメンの仕事の方が楽そうに感じました。
理由は、扱う設備の規模が大きくトラブルが発生した場合の対応力が求められそうだからです。
また、燃料の投入やボイラー内部の清掃、クレーンの操作など、肉体労働の比率がビルメンよりも多そうなので体力的にもきつそうに感じました。
しかし、ビルメンと違ってテナント対応などは存在しないため、設備管理の仕事だけに集中できる点は面白そうです。
また、待機時間(暇な時間)も存在するようで、常識の範囲内であれば資格の勉強やスマホいじりなども可能な現場が多いようです。
というわけで、ビルメンの仕事が嫌になったとか、そもそもビルメンの求人が少ない地域であれば、ビルメン資格を活かせる転職先としてバイオマス発電所もアリかなと思います!
バイオマス発電所運転員の仕事に興味がある方は、プラント維持管理系の求人に強い、建設・設備求人データベースに相談してみましょう。
以下のような求人が掲載されていましたよ!(一例なので、他の地域でもバイオマス発電所の求人が出ているはずです)
企業名 | 地域 | 年収 |
サミット半田パワー株式会社 | 愛知県半田市川崎町 | 470万円~750万円 |
ヴェオリア・ジェネッツ株式会社 | 福岡県京都郡苅田町新浜町 | 300万円~500万円 |
株式会社V・Tエナジーマネジメント | 神奈川県横須賀市浦郷町 | 300万円~500万円 |
ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社 | 秋田県秋田市向浜 | 400万円~600万円 |
株式会社エフバイオス | 和歌山県新宮市五新 | 350万円~600万円 |
東京パワーテクノロジー株式会社 | 福島県双葉郡広野町 千葉県市原市、君津市、富津市、袖ケ浦市 神奈川県横浜市、川崎市 | 390万円~500万円 |
私の住んでいる地域だと、バイオマス発電所は近くに無いので転職は難しそうです・・。
ちなみに、必須では無いですがバイオマス発電所で活かせそうな資格をまとめておきます。
- 第3種電気主任技術者
- 第2種電気主任技術者
- 第1種電気主任技術者
- 特級ボイラー技士
- 1級ボイラー技士
- 2級ボイラー技士
- 第1種ボイラー・タービン主任技術者
- 第2種ボイラー・タービン主任技術者
- 第1種電気工事士
- 第2種電気工事士
- 機械保全技能士
- 危険物取扱者乙種4類
ビルメンに必要とされる資格と似ていますよね。
これらの資格を持っていると未経験でも採用される可能性は上がるかもしれません!
★下水処理場や地域冷暖房の維持管理もオススメです。ビルメン求人が少ない地方でも仕事がある可能性が高いので、転職先の候補に入れてみてはいかがでしょうか。以下の記事で特集しているので、気になる方は確認してみてください。
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