
ビルメン業界って人手不足なんでしょ?
未経験でも余裕で内定もらえるよね?

確かに業界全体では人手不足ですが、誰でも入社出来るってわけでもないんですよね。
ビルメンテナンス業界は慢性的な人手不足が続いており、多くの現場で「求人を出しても応募が少ない」「人が定着しない」といった声が聞かれます。
帝国データバンクが2024年に発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」によると、「メンテナンス・警備・検査」の業種で正社員が不足していると回答した企業は69.7%となっており、全業種の中で2位という結果でした。
1位 | 情報サービス | 70.2% |
2位 | メンテナンス・警備・検査 | 69.7% |
3位 | 建設 | 69.6% |
4位 | 金融 | 67.1% |
5位 | 運輸・倉庫 | 65.8% |
6位 | 旅館・ホテル | 62.9% |
7位 | 専門サービス | 59.1% |
8位 | リース・賃貸 | 56.8% |
9位 | 人材派遣・紹介 | 56.7% |
10位 | 自動車・同部品小売 | 56.3% |
「メンテナンス・警備・検査」なので、ビルメン(設備管理)以外の職種も含まれていますが、業界全体として人手不足なのは間違いないようです。

人手不足と言われている建設業界よりも上位なのには驚きました。
この記事では「ビルメン業界が人手不足になっている理由」、そして「本当にビルメンは転職しやすいのか」について解説していきます。
ビルメン業界で人手不足が進む5つの理由

それでは、私が考えるビルメン業界が人手不足となっている理由を紹介します。
①業界全体で高齢化が進み退職者が増えている
ビルメン業界は他業種からの転職者が多い業界です。
とくに定年後の再就職先として選ばれることが多く、50代以上が多くなる傾向にあります。

なぜ定年後の再就職先にビルメンが選ばれてるの?

業務内容が単純で、労働負荷も比較的少ないからですね。
体力・気力が落ち始めている中高年が未知の業界に転職するのに、わざわざ難しくて大変な仕事は選びませんよね。
他の業界だと新卒から定年まで長く働くことが一般的ですが、ビルメンの場合は中高年が年金を貰うまでの繋ぎとして働いていることも珍しくありません。
そのため、定年を迎え退職する人が必然的に多くなります。
最近では再雇用で70歳まで働けるようにするなど、高齢者でも働ける環境を整えている企業もあります。
しかし、彼らが現役世代と同じ業務内容を遂行することは難しいため、人材不足の根本的な解決になっているかというと私は疑問を感じています。

私が過去に勤務していたビルメン会社の話ですが、70歳近い年齢の従業員が大半を占める現場がありました。
さすがに高齢者過ぎて、マトモに仕事が出来る雰囲気ではありませんでしたね。※下の記事の職歴7の会社です。
【関連記事】私の職歴
②給料が低いイメージが定着している
ビルメンの給与水準は他の技術系の職種と比較すると決して高くはありません。

ビルメンを技術職と呼んでいいのかわかりませんが・・。
特に、未経験からのスタートでは年収300万円前後が一般的で、資格や経験を積まないと大幅な昇給が難しいという点が応募を遠ざける要因になっています。
当サイトでビルメン(設備管理)で働く人を対象に実施したアンケートでも、年収の平均値は350万円程度でした。
厚生労働省の調査によると日本人の平均年収は460万円前後なので、100万円以上の差があります。
※令和5年分民間給与実態統計調査
これでは人が集まらないのは当然ですね。

③仕事内容が広範囲
ビルメンの業務は、電気・空調・給排水・防災・エレベーター・建築・テナント対応など多岐に渡るため、意外に覚えることが多いです。
また、夜勤(宿直)など労働時間が不規則だったり、トラブル発生時の対応もあり、精神的な負担が大きいと感じる人も少なくありません。
これらの業務は慣れてくればルーチンワークになるのですが、入社したばかりだと不規則なシフトや覚える量の多さに圧倒されて早期退職する人も少なくありません。

楽な現場でゆっくり仕事を覚えることが出来れば良いのですが、未経験者がいきなり忙しい現場に配属されてしまうと無力さを感じて辞めてしまうようです。
④3K(きつい・汚い・危険)の仕事がある
ビルメンの仕事は「3K」だと言われることがありますが、最近は業務の機械化や自動化が進み、昔ほど危険で過酷な現場は少なくなっています。
しかし、天井裏に潜って配管の修理をしたり、高所で設備点検をするなどきつくて危険な仕事もありますし、トイレの詰まり除去など汚い仕事もあります。
これらの仕事を好んでやる人は少ないため、ホワイトカラーの仕事と比べてしまうとビルメン業界が人手不足になるのは当然だといえます。

とはいえ、常にきつくて汚い仕事をしているわけではありません。
パソコンで事務作業をしたり、設備の状態をモニターで遠隔監視するのもビルメンの仕事です。
【関連記事】ビルメンの仕事内容を紹介
⑤ DX化・IT化の遅れ
近年、他業種ではAIなどを活用し人手不足を補っていますが、ビルメンの仕事は現場作業が多いため、DX化やIT化を取り入れることが難しいのが現状です。
しかし、メーターの数値をスマホのカメラで撮影することで即座にデータとして記録するようになシステムを導入するなど、企業ごとに業務効率を上げる努力はしています。
ですが、中高年が多い業界のため、DX化に必要なIT機器を使いこなせず、逆に非効率になってしまう現場もあるようです。

DX化が遅れているということは、AIなどに仕事を奪われにくいということなので、逆に考えるとメリットとも言えますね。
【関連記事】AIの発達によってビルメンの仕事は無くなる?設備管理の将来性について
ビルメン業界が人手不足を解消するためにはこれしかない

では、ビルメン業界の人手不足を解消するためにはどうすればよいのでしょうか。
私なりに色々考えましたが、やはり待遇を良くすること以外に無いと思います。
先ほどビルメン業界は給与が低いため人が集まらないと説明しましたが、実際にビルメンの求人を見てみると月給20万円で、ボーナスは基本給1か月分が夏冬の計2回で募集をかけている会社が多いです。
上記の条件では残業が無ければ年収300万円未満です。
定年退職後で、既に年金を受給しているような人なら余裕で生活出来るでしょうが、働き盛りの30,40代では将来のために貯金することも考えると心許ない金額です。
結婚していて子供がいる場合なんかだと、夫婦共働きは必須になることでしょう。
というわけで、未経験者でも年収400万円以上貰えるビルメン会社が増えてくれば、業界の人手不足も少しずつ解消されるのではないでしょうか。
しかし、ビルを管理する委託料はビルオーナーとの契約で決まっているため、ビルメン会社が利益を出すためには人件費を削らないといけないので中々難しいところではあります。

最近では人手不足を解消するために、未経験者にも年収400万円以上出す場合もあります。
ビルメンでも実務経験や資格を増やせば給与は上がる
ビルメンは確かに給与が低いですが、実務経験や関連資格を増やすことで年収を上げることは可能です。
現に私も年収250万円前後のビルメンから始まり、資格や経験を増やして転職することで年収550万円になりました。
もちろん今もビルメンをやっています。
最初は薄給で苦労するかもしれませんが、給与を上げる手段が無いわけでもないので、初任給が低いというだけでビルメンを就職先の候補から外すのは勿体無いですね!
★ビルメン業界で給料を上げるために必要な資格について以下の記事で紹介しています。

ビルメンは人手不足だから未経験でも転職余裕?【リアルをぶっちゃけます】

給料安いのはわかったけど、人手不足なんだし転職は余裕ってことでいいんだよね?
ビルメン業界は人手不足なのは確かです。
そのため、ニートのように長い空白期間があっても採用してくれる会社はたくさんあります。
しかし、これは年収300万円未満で募集をしているような会社のことで、上位系列系のように年収400万円程度支給するビルメン会社の場合は採用基準も厳しくなります。
このような企業に応募すると、ある程度の資格を保有していて、さらに実務経験があっても面接で落とされてしまうのです。
なので、ビルメン業界の全てが人手不足というわけではなく、待遇が良い企業の入社難易度は高いという認識は持っておいてください。

とりあえず年収300万円でもいいから働くぞ!

年収300万円でも贅沢しなければ余裕で暮らせます。
元ニートなど訳ありの人にとっては、仕事があるだけでも感謝ですからね。
ちなみに未経験でも上位系列系のビルメン会社に入社している方はいます。
応募者が少ない時期など、タイミング次第では入社できる可能性はありますので、私のように実務経験や資格が増えたらチャレンジしてみましょう。
★待遇の良いSランクビルメン会社に採用されやすい人の特徴などを以下の記事でまとめています。

まとめ
この記事ではビルメン業界の人手不足について、業界歴10年以上である私の見解を解説しました。
ビルメン業界全体で考えると人手不足は深刻ですが、給与や待遇の改善、新卒採用の教科、DX化の推進によって、今後改善される可能性があります。
なお、今のところは聞いたことがありませんが、外国人を雇用して人手不足を補う可能性もあります。
現に同じ業界である清掃では外国人労働者を大量に雇っていますので、設備管理に関しても研修をしっかり行うことで外国人でも出来るのではないかと個人的には思っています。

むしろ、やる気のない日本人よりも外国人の方がよっぽど勤勉ですよね。
いずれにしても人手不足な業界であることは間違いないので、会社を選ばなければ未経験者でも就職は余裕で可能です。
また、ビルメンは景気に左右されにくい安定した職業であり、資格を取得することで年収も上げられる点も魅力的な仕事だといえます。
業界全体で労働環境の見直しが進めば、将来的により多くの人材が集まるでしょう。
これからビルメン業界を目指す方は、ぜひ資格取得と実務経験を積みながら、キャリアアップを目指してみてください!
★以下の記事では、ビルメン業界で年収を上げるために重要な資格「3種の神器の年収」について解説しています。

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