ビルメン業界用語辞典(随時更新中)
ビルメンとして勤務するにあたり、知っておいた方が良い用語を説明つきで載せております。
五十音で並べてますが、項目が多いため検索ボックスなどを活用して探してみてください。
誤りがあった場合はコメントで指摘して頂けると助かります。
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あ行
圧力計
対象の設備機器内の圧力を数値化したものです。
ポンプ、ボイラー、冷凍機などに設置されています。
ビルメンはこの数値を点検用紙に記録します。
単位はPa(パスカル)であることがほとんどですが、設備によっては違う単位(kgf/cm²など)のメーターが設置されている場合があるのでメーターに書いてある単位を気にしてみると良いでしょう。
ウォーターポンププライヤー
カラスと呼ばれることもあります。先輩からカラス持って来いと言われたら、これをもって行けばOKです。
用途は水道工事などでナットを回したりするときに使います。
はさむ部分の大きさを簡単に変えられるので結構便利です。
エアハンドリングユニット
エアハンやAHUと略されることも。大きなエアコンと思ってもらえればOKです。夏場なら冷凍機などを使って冷たくした水を配管を使ってエアハン本体に送ります。その冷水が通った配管に送風機で風を吹き付けると、風は配管が冷たいので冷やされます。その冷えた風をダクトを使って、冷房を効かせたい場所まで運ぶと目的の場所を冷やすことが出来ます。温水を使えば暖房として使うことも出来ます。また、加湿機能もあるため、冬場の乾燥対策にもなります。
デメリットは暖房と冷房を同時に使用することが出来ないこと、エアハン本体が壊れると、エアハンを利用している部屋全てで冷暖房が使えなくなることです。
営繕(えいぜん)
壊れた設備を修理すること。
例)壊れた扉のドアノブを交換。水道の蛇口のパッキンを交換。
汚水槽(おすいそう)
地下階に設置されているトイレなどは、公共の下水本管よりも下に設置されているため、通常の方法では勾配が取れず水を下水道に排水することが出来ません。そのため、一度地下の汚水槽に使用した水を貯めてから、汚水ポンプで地上まで水を運んで公共の下水道へ排水しています。
ちなみに、トイレ以外で使用される排水を貯める水槽をは雑排水槽と呼び、汚水も雑排も一緒に貯めておく場合は、合併層なんて呼ばれたりもします。
なお、これらの水槽は半年に1回以上清掃することが義務付けられています。(東京都では年3回)清掃作業は相当きついですが、基本的には専門業者が行っているのでビルメンがやることはありません。
か行
逆止弁(ぎゃくしべん)
チャッキ弁、チャッキなどと呼ばれることも。
水道配管の途中に設置されて、水が一定方向にしか流れないようにする装置です。
下図の逆止弁の場合、ポンプなどで水が下から上に向かって流れてきたときのみ、水の圧力で弁が開き、ポンプが停止して圧力がなくなると弁が閉まってフタの役割を果たします。
逆止弁は色々な所で使われているため、ビルメンで働くなら必須の知識と言えます。
キュービルク
高圧の電気設備が納まっている金属製の箱。高圧から低圧に電圧を変化させてくれる変圧器という機器が、キュービクル内の大部分を占めている。
他にも、電気設備を保護するための機械なども入っています。
また、キュービクルの見やすい場所に各種メーターがついており、ビルメンは毎日巡回でこのメーターの数値を記録し、電気主任技術者が月次点検(2ヶ月に1回)で詳細な点検をしています。
年に1回、ビル全体の電気を完全に落として、キュービクル内を点検する年次停電作業を実施しますが、この作業の立ち会いは基本的にビルメンの業務となっています。
下記の写真がキュービクルです。このような大きな箱を鉄道の駅の近く、ホームセンターの屋上、スーパーの駐車場などで見たことはないでしょうか。
業務独占資格(ぎょうむどくせんしかく)
国家資格の分類の一つ。
その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を、独占的に行うことができる資格のことです。
ビルメン資格でいえば4点セット、3種の神器は全て業務独占資格です。
業務独占資格を1個でも多く持っていると、食いっぱぐれる可能性が低くなります。
他分野の資格ですが簿記やFPは独占業務が無い資格となっています。
空気環境測定(くうきかんきょうそくてい)
特定建築物に該当する建物に義務付けられている定期点検です。頻度は年6回(2か月に1回)実施で、午前、午後の2回測定します。
測定する対象は「一酸化炭素」「二酸化炭素」「浮遊粉塵」「温度」「湿度」「気流」の6個になり、建物内の様々なポイントで測定していきます。※建物が広いと測定ポイントが大量になり結構大変です。
昔はそれぞれの測定項目を別々の機器で測定していたため、台車に色々な器具を載せるため運搬が大変でしたが、今はコンパクトにまとまった器具が出来ています。
クランプメーター
電流を計測できます。クランプと呼ぶことも。クランプ(英語)は挟むという意味がある。
その名称のとおり、電流を測りたい電線を挟むことで流れている電流を計測できる。
下の画像参照。上部の輪っかが開くので、そこに電線を通せば良い。電線と輪っかは触れている必要はないです。電線の周りに発生する、目に見えない磁力線をクランプメータがー拾って電流として計測します。
発生する磁力線は、流れている電流が多いほど増えます。
これは、電気設備で使用されている変流器と同じ原理なので覚えておくと良いです。
電気と磁力は密接な関係にあるのです。
こちらの動画でクランプメーターを使って電流を計測しています。
系列系ビルメン会社(けいれつけいびるめんがいしゃ)
大手企業の子会社として発足したビルメン会社。有名なところだと、三井不動産ファシリティーズ(三井不動産系)、鹿島建物総合管理(鹿島建設系)などがあります
対する用語として独立系ビルメン会社があり、一般的に系列系の方が高待遇ですが入社難易度が高いです。
下記の記事で系列系ビルメン会社についてわかりやすく解説してますので良かったらチェックしてください。
現場ガチャ
ビルメンの働き方は管理対象のビルに派遣されて、そのビルに常駐して仕事をします。
派遣先のビルによっては、仕事が忙しかったり人間関係が悪かったりとブラックな現場の場合がります。
こういった運要素があることを、現場ガチャと呼んでいます。
なるべく暇な時間が多く人間関係が良好なホワイトな現場に配属されたいものです。
交流(こうりゅう)
時間の経過でプラスとマイナスが変化する電源のこと。
身近なものだと家庭用のコンセント(単相100V)があります。
ビル内で使っているコンセントも単相100Vですが、他に単相200V、三相200Vなど電気機器の用途によって電圧を使い分けています。※このへんは電気工事士の勉強をすると理解できるようになります。
直流より交流が普及した理由は、電圧を変化させるための方法が直流より交流のほうが容易なためだと言われています。※直流を変圧器に流しても、交流と違って電圧を変化させることができません。
ちなみに直流は、乾電池や車のバッテリーなどが該当します。
コンベックス
長さを測るメジャーの事です。
メジャーは厳密にはビニール素材のものを指し、ビルメンが使うような薄い金属製のものはコンベックスと呼ばれています。
他には、スケールなんて呼び方をする人もいます。
よく使う工具ですので、名前を覚えておくと良いですね!
さ行
残留塩素測定(ざんりゅうえんそそくてい)
ビルの給水設備から採取した水に試験薬を入れて、水の色の変化で塩素の濃度を測定します。ちなみに、採取する水は給水の大元(貯水槽など)から一番遠い場所の水栓になります。またビル管理法では残留塩素を0.1 mg/L以上キープするように義務付けられています。塩素の濃度が薄くなると、水に雑菌が繁殖しやすくなります。
この作業は、採取した水道水を下の写真の容器にいれて、粉末の試験薬と混ぜあわせて色の変化を確認するたけの、とても簡単な仕事です。ただし、広いビルだと末端の水道まで行くのが大変かも?
資格手当
ビルメンが資格を取得したら、毎月の給料に加算されるお金。全ての会社でこの制度があるわけではないが、ビルメンの安い給料を上げていく数少ない手段でもある。
似たようなもので、資格報奨金というものがあり、こちらは資格取得時に1回だけ貰えるお金。
一回の金額は資格報奨金の方が大きいのだが、会社に一年以上継続して雇用される予定があるなら、毎月貰える資格手当のほうがお得である。
自社ビルメン
ビルメンテナンス会社などと契約せず、自社の社員として直接雇用されているビルメンのこと。
他にも、病院ビルメンだったら病院の職員として直接雇用などもあります。
一般的に、ビルメン会社に雇用されてるビルメンよりも待遇が良い場合が多いです。
下記の記事で自社ビルメンについて解説しています。
自動火災報知設備(じどうかさいほうちせつび)
自火報と略して呼ばれることも。一般の人が目にする範囲だとビルの天井について煙感知器などが該当します。それらの感知器は、煙や熱を感知して防災センターにある総合受信盤に信号を送り、館内放送や非常ベルを鳴動させるなどしてビルの利用者に危険を知らせます。これらの設備を総称して自火報と呼びます。ビルメンとして勤務した場合、自火報の確認の仕方や、簡単な操作方法は覚えることになります。
宿直(しゅくちょく)
泊まり勤務のことです。ビルメンの泊まり勤務は一般的に24時間勤務であることが多いです。
例)朝の9時に出社して、次の日の朝9時に勤務が終わる。
必ず仮眠時間が設けられており、仮眠中に警報などが鳴った場合は起きて緊急対応をします。
当然ですが宿直が無い現場も多数存在しますので、宿直が苦手な人は日勤のみの現場を根気よく探すと良いです。
消火栓(しょうかせん)
消火栓は、火災の際に建物内外から消火活動を行うために設置される消火設備の一つです。一般的には、ビルの廊下や階段室などに設置され、消火活動に必要な水を供給するためのバルブとホースが備え付けられています。
消火栓は、火災に対する迅速かつ効果的な消火活動に不可欠な設備です。また、消火栓は、消火設備の一つであるため、建物の消防法に基づく点検や保守が定期的に行われる必要があります。
消防設備士1類の免許を持っていると点検・整備・工事を行うことができます。
ビル内で下記の写真のようなものを見たことがあると思います。
フタを開けると中にホースが入っており、1号消火栓は2人で操作する必要がありますが、2号消火栓は1人でも扱えます。
消防設備点検
消防法で定められた法定点検になります。
スプリンクラー、消火栓、消火器、感知器などの消防設備の点検を行います。
基本的に、この点検作業はビルメンではなく、外注の消防設備業者(有資格者)が行います。
なお、消防設備点検は機器点検と総合点検の計2回実施する必要があります。
おそらくビルメンとして働くことになった場合、消防設備点検の立ち会いは業務に含まれてきます。
業者と一緒に館内を周り、施錠されている部屋の開錠をするなどして業者のサポートをします。
水光熱メーター検針(すいこうねつめーたーけんしん)
メーター検針、水光熱検針などいろいろ呼び方があります。
何をするかというと、各テナントの電気、ガス、水道、それぞれのメーターの数値を記録し、前月の数値から差し引き使用料を求めます。
数値を読むだけなので、さほど難しい業務ではないですが、万が一数値を読み間違えてしまうと、テナントへ間違った料金を請求することになるため、慎重に行うべき業務といえます。
主にミスが発生しやすいのは、メーターの数値を読む時と、確認したメーターをPCに入力するときになります。
水栓(すいせん)
水道の蛇口のことです。一般的には聞きなれない言葉なので念のため載せておきます。
施工管理(せこうかんり)
設備管理と似ていますが全く違う仕事です。設備管理(ビルメン)が維持管理を業務にしていることに対して、施工管理は工事の管理が仕事です。
工事の打ち合せやスケジュールの調整をしたり、現場に直接出て工事業者の管理なども行います。基本的に激務な仕事だと言われています。
お給料は良いらしいですが、拘束時間が凄まじいためワークライフバランスを求めるビルメン志望者にとっては近づかないほうが良い業界です。
施工管理の2chまとめスレを動画にしてるので良かったら見てください。
動画を見る。
全熱交換器(ぜんねつこうかんき)
通常、ビル内の換気を行うには給気ファン、排気ファンを利用するが、これらの機器を使うとせっかく冷暖房を使って調節した室内温度が外気温によって大きく変動してしまいます。
そこで、この全熱交換器を利用すると、50~80%程度の熱損失をおさえつつビル内の換気をすることが出来る夢のような機械です。※実際にそこまでの効果があるか不明ですが・・・。
ちなみに、三菱製の全熱交換器はロスナイという名称であるので覚えておくと良いです。
全熱交換器にもエアコンと同じようにフィルターがついており、このフィルター交換はとても面倒なうえにホコリもすごいです。
※ロスナイという名称で呼ばれたりもします。
た行
待機時間(たいきじかん)
ビルメンはビル内の設備にトラブルが発生した際に、すぐに対応出来るようにするため事務所で待機している必要があります。
待機中は中央監視装置を眺めたり、資料をまとめたり、パソコン作業をしたり、資格の勉強をしたり、スマホを(ゴニョゴニョ)
中央監視装置(ちゅうおうかんしそうち)
ビルオートメーションと呼ばれることも。中央監視室(防災センターなど)に設置されたコンピューターから、建物内の各設備を遠隔で操作できる装置のこと。空調、照明、熱源、防災、衛生、エレベーターなど様々なものが操作できる。とにかく便利です。
古い建物では導入されていないことが多いため、使ったことがないビルメンもいると思われます。
操作を覚えるのはちょっと面倒ですが、慣れてしまえばとても便利な機器ですので、私は中央監視装置が備わっているビルのほうが好きです。
直流(ちょくりゅう)
アルファベットでDCと表記されることも。
交流と違って、常にプラス、マイナスどちらか一定の電流が流れる電圧のこと。
テスターで測定するときは、DCレンジで測定しましょう。
身近なものだと、乾電池や車のバッテリーがあります。
ビルメンで働いていると、蓄電池設備点検の際にテスターをDCレンジで測定したりします。
貯水槽(ちょすいそう)
水を貯めておく設備の総称。この中に受水槽、高架水槽、高置水槽、貯湯槽などの種類があります。高置水槽、高架水槽はビルの屋上にあり、高低差のエネルギーを利用してビル内に水を供給しますが、受水槽は地上又は地下にあるため、給水ポンプなどで圧力をかけてビル内に水を供給しています。
また、受水槽と高置水槽(高架水槽)はセットで運用されることもあります。
なお、貯水槽は基本的に年1回清掃をする必要がります。バックアップ用の水槽が無い場合、その建物は断水することになるためテナント、入居者への周知が大切です。
チラー
ビル管理では、主に空調用の熱源を作るために利用されています。
チラーというエアコンの室外機のような冷媒を冷たくしたり熱くしたりできる装置があり、その内部に水を循環させることで水の温度を上下させることが出来ます。
そして、温度変化させた水を空調用の熱源として使用します。
私の勤務していたビルでは、夜間の電気代が安い時間帯にチラーで冷温水を作って地下の蓄熱槽というタンクに大量に貯めておき、日中のビルを利用する時間帯に蓄熱槽にたまっている冷温水とエアハンを組み合わせてビル内の温度調節をしていました。
チラーって冷やすことしか出来ないような名称ですが、冷凍機と似たような原理で動作しているため温めることもできますので勘違いしないように。※たまに業者とかと話すと、チラー=冷やす装置と思いこんでる方がいます。
停電作業(ていでんさぎょう)
年次停電作業、全館停電作業などとも呼ばれます。
電気事業法に基づき、ビルなどの自家用電気工作物はすべての電気を遮断した上で、電気設備の点検をしなくてはいけません。
この作業は年に1回行われます。
ビル全体の電気が使えなくなるため、必ずビルの全テナントに周知し、綿密な計画を実行する必要があります。
また、高圧の電気設備の改修などがある場合は、安全に作業ができる停電作業の日に行います。
テスター
回路計と呼ばれることも。主に低圧部分の電圧、導通を測定出するために使います。3千円前後で買えるため、持っておくといいかも。
直流と交流どちらも測定可能で、ビルメン業務ではどちらの測定もする可能性があります。
未経験者は入社前に使いかたを覚えておくと先輩から褒められるかも?
転職エージェント
転職活動をサポートしてくれる会社のことです。基本的に無料で利用でき、おススメの会社の紹介や、面接の段取りなど組んでくれるので便利です。系列系ビルメンに転職するなら是非活用しましょう。
https://hetarei.xyz/2022/11/26/tensyokuagent/
電流計
主にキュービクルや分電盤に設置されており、対象機器に現在どれだけの電流が流れているかを数値で表してくいます。
ちなみに、電流は数値が多くなればなるほど熱を持ちます。
ビルメンはこのメーターの数値を点検用紙に記録します。
ドアクローザー
ドアクローザとは、重量がある扉の上部に付いており、ドアを油圧によりゆっくりと閉めるための装置です。
ビルメンの営繕業務としてドアの閉まる速度の調整をしたり、ドアクローザーそのもの交換をすることがあります。
以下はドアクローザー交換作業の動画です。
独立系ビルメン会社(どくりつけいびるめんがいしゃ)
大企業の子会社ではなく、ビルメンテナンス業のために発足したビルメン会社のこと。
ただし、この呼び方はネット上で主に用いられているため現場ではあまり使わないかも。
大企業の子会社であるビルメン会社は系列系ビルメン会社と呼ばれています。
トーラー
排水管の詰まりを除去するための道具です。
古い建物だと、長年の汚れや錆により排水管が閉塞しているため詰まりやすくなっています。
そんなときに活躍するのがトーラーです。
この器具の中には柔軟性のある長い金属がグルグルと巻かれて収納されており、排水管の中に押し込んでいくことで管内の異物などを絡めとります。
なお、トーラーは現場ではカンツールと呼ばれたりもします。
これは(株)カンツールという名前の会社があり、(株)カンツールが販売しているトーラーのことをカンツールと呼んでいます。
ややこしいですね・・。
な行
は行
パイプレンチ
パイレンと略すことも。
先輩から作業中にパイレン持ってきてと言われたりすることがあります。
新人だとどれがパイレンかわからないかもしれませんので、下記の写真の形を覚えておくと良いと思います。
用途はパイプを回すために使います。
そのため、はさむ部分にギザギザがついています。
パッシブセンサー(人感センサー)
こちらは防犯(警備)用の設備ですがビルメンも用語と機能くらいは知っておいてください。
パッシブセンサーは、人の動きを感知するセンサーの一種です。これは、一般的に、赤外線放射を用いて、人の体温から放出される赤外線を検出することによって機能します。これにより、人が部屋に入ったり、動いたりするたびに、センサーがそれを検知し、それに応じて設定された動作を実行します。
防犯用の人感センサーは、主に、不審な動きや侵入者の存在を検知するために使用されます。例えば、センサーが侵入者を検知すると、警報を発するか、ライトを点灯するなどの動作を実行することができます。これにより、侵入者を妨害し、警告することができます。
セコムなど警備会社を導入しているビルでは、夜間など人がいない時間帯にパッシブセンサーが反応すると、セコムのセンターへ通知が飛び、警備員が駆け付けてくれます。
非常用発電機
災害や停電などの緊急時に備えて、電力を供給するための発電機のことを指します。設置場所は、ビルの屋上、地下、屋外など様々です。燃料としてガソリンやディーゼル燃料を使用するものが多いため、保管する燃料の量によって危険物取扱者乙種4類の免許保有者の選任が必要となります。
手動または、停電信号(不足電圧継電器の信号)を検知して自動で起動することができます。
ビルマネジメント
ビルメンが設備のメンテナンスや管理を中心に行うのに対して、ビルマネジメントはビルオーナーに代わって設備改修に関わる年間予算の計画をてたり、テナントの誘致、テナントとの折衝など事務的仕事が多くなります。
会社にもよりますが、ビルメンと違って対人関係の業務が多くなり、責任も重くなりがちです。
ファンコイルユニット
FCUと略されることも。冷水・温水を配管を通してビルの冷房・暖房を使用したいところに運び、小型の送風機(FCU)を設置する。
FCU内にはコイル状の管が通っており、運ばれてきた冷水・温水はそのコイルの中を通る。
コイル配管内に冷水・温水が通った状態で、コイル配管に風をあててやると、風は冷水・温水によって温度が変化し、室内の温度を調節することが出来る。
配管をコイル状にする理由は、風の当たる面積を広くとるため。
フィルター清掃(フィルター清掃)
そのままの意味です。パッケージエアコン、全熱交換器、エアハンなどのフィルターを取り外して清掃します。掃除機で吸うだけの場合や、一度持ち帰って水洗いをする場合など様々です。現場によって頻度が違いますが、1~3か月に1回くらい清掃します。フィルターを水洗いをした場合は乾かす必要があるため、別途もう一組フィルターを用意して、清掃のたびに交互に使っていきます。
フィルターが汚れてくると、熱交換率が下がり、空調の効率が悪くなり冷えにくい温まりにくい電気代が増えるなどの弊害が出てきます。
とくに頭を使う業務でもないので、新人ビルメンはフィルター清掃を率先してやりましょう。
フラッシュバルブ
ビルのトイレで下記の写真のようなものを見たことがあると思います。
これはフラッシュバルブと呼ばれる設備で、トイレの排水方法の1つです。
一般家庭のトイレで使われているロータンク式のようなタンクが不要になるので省スペースです。
年数が経過すると不具合を起こすため、これを分解して中に入っているストレーナーの掃除をしたり、ピストンバルブという部品の交換をしたりするのはビルメンの仕事になります。
ちなみに、フラッシュバルブがついているとロータンクが必要なくなります。
※本ページのロータンク参照
フランス落とし
両開き扉の片側を空かないように固定する金具のことです。
経年劣化で破損することもあるため、ビルメンが交換する場合もあります。
分電盤
分電盤は、電力を配電するための装置の一種で、建物内の電気設備を供給する役割を担います。
分電盤には、主幹ブレーカー、分岐ブレーカー、地絡遮断器、漏電ブレーカーなどの各種ブレーカーが設置され、電流の制御や過電圧、漏電などの異常を検知する役割を果たします。
分電盤は、建物の規模や用途に応じて、様々なタイプがあります。大型のビルや工場などでは、複数の分電盤が設置され、それぞれの回路や設備を管理することが一般的です。また、最近では、スマート分電盤などのIoT技術を採用した分電盤も登場しており、より高度な遠隔監視や制御が可能となっています。
下記の写真は分電盤の扉を開いた状態です。
ビルメンの場合、軽微な電気工事をする際にブレーカーを落としたり、テナントが電気の使い過ぎや漏電によってブレーカーが落ちた際に復旧操作をする場合などに分電盤をいじることがあります。
慣れてしまえば大したことはありませんが、盤内は絶縁されていない箇所もありますので触れると感電する場合があります。
最初は先輩ビルメンと一緒に点検することをお勧めします。
変圧器(へんあつき)
トランスと呼ばれることも。Trと表記されてる場合もあります。
主に自家用電気工作物(ビルなどの電気設備のこと)の高電圧(6600V)を、一般の電気機器で利用できる低圧(100V)に変換する目的で利用されています。
ビルメンになると、電気室(受変電室、キュービクルなど)に点検に行くことになりますが、電気室の中で一番目立つ機器がこの変圧器だと思います。
稼働中はブゥゥーンという音を発していますが、異常ではありません。
変流器(へんりゅうき)
CT(変流器)を参照。
ボイラー
ボイラーとは、建物の設備として、暖房や温水を供給するための熱源装置のことを指します。ビル設備においては、一般的に大型のボイラーが使用され、建物全体の暖房や温水を供給します。
ボイラーは、主に燃料を燃焼させて水を加熱し、その蒸気や温水を配管を通じて送り出します。燃料としては、天然ガス、重油、軽油、プロパンガスなどが使用されます。また、最近では、環境負荷の低いバイオマス燃料を使用したボイラーも登場しています。
ボイラーは、その性能や規模によって、多様な種類があります。一般的に、高効率で省エネなコンデンシングボイラーや、高圧力で大規模な発電所に使用される火力発電用のボイラーなどがあります。ビル設備においては、建物の規模や用途に合わせた適切なボイラーを選定し、維持管理を行うことが重要です。
ちなみに、ボイラーのサイズによってボイラー技士の免許が必要になります。
まずは2級ボイラーから取得していきましょう!
防煙垂壁(ぼうえんたれかべ)
下記写真の天井についている透明のパネルのことです。
火災時に発生する煙が広がるのを防止するためのもので、500㎡以内を1区画としてこの壁で囲っています。
煙は上に溜まるので、この区画で煙が広がらないうちにビルから安全に避難することを目的として設置されています。
火災時に発生する煙を対策する設備でありますが、消防法ではなく建築基準法によって設置が義務付けられています。
防火ダンパー
ファイヤーダンパー(FD)と呼ばれることも。
空調や換気用のダクト(風の通り道)の途中に設けられ、火災発生時にダクトを通って火が他の部屋や階層へ燃え広がらないように、火の熱でヒューズが溶けることでダクトを塞ぐ機能を有しています。
防水工事
ビルには屋上階があります。
屋上の床面はそのままの状態だとただのコンクリートなので雨が降れば、雨水が建物内に侵入してきてしまいます。
そこで屋上の床面には防水塗料(特殊な撥水性のある塗料)を塗布し雨水の侵入を防止しています。
この防水塗料は経年で劣化していくため、10年ちょっとで塗り替えをしていることがほとんどです。
塗装は専門業者の仕事ですが、防水工事をする業者を取りまとめるのはビルメンの仕事になります。
※ちなみに防水塗料の上にトップコートというコーティングをします。このトップコートは5年程度で塗り替えることが多いです。
ま行
メガー
絶縁抵抗計と呼ばれることも。使い方は、電気設備にメガーで試験的に電圧を与え、各機器やケーブルなどに絶縁不良個所がないかチェックします。
絶縁不良個所があると漏電の原因となり、絶縁不良が起きている系統のブレーカーが落ちたり、人が触れると感電する恐れがあります。
モーターレンチ
イギリスと呼ばれたりします。先輩からイギリス持ってきてと言われたら、モーターレンチのことだと思ってください。用途は大きなナットや、固くなったナットなどを回すのに使います。
挟む部分にギザギザがついていないため、対象を傷つけません。
モンキーレンチ
モンキーと略されることも。ビルメンが使う工具。
腰道具につけてるビルメンもいます。ナットを締めたりするために使います。
や行
ら行
ラバーカップ
ビルメンが大好き?なトイレの詰まりを解消するためのスッポンのことです。
持ち運ぶときは、便器の中に入る黒い部分がお客さんの目に入らないように、ビニールで隠したり、バケツに入れるなどして周りに配慮しましょう。
漏電
漏電とは、電気設備の配線や機器において、電流が本来の経路から外れ、接地や他の回路に流れ出てしまうことを指します。
例えば、電気製品のコードが切れてしまったり、配線が老朽化して絶縁が劣化したりすると、電流が正常な回路から外れて、建物の配電系統に流れ出てしまうことがあります。また、建物の電気設備に絶縁のない部分があったり、湿気などで絶縁が劣化した場合にも、漏電が発生することがあります。
漏電が発生すると、安全面や火災の危険性が高まります。そのため、電気設備には、漏電を検知し、漏電が発生した場合には電源を切る漏電ブレーカーが設置されています。漏電ブレーカーは、通常のブレーカーと同様に、電流値の上限を設定しており、漏電が発生した場合には、電流値が上限を超えるとブレーカーが作動して電源が遮断されます。これにより、漏電が発生した際に、人身事故や火災を防止することができます。
ロータンク
家庭用のトイレの後ろの方にあるタンクのこと。排水レバーをひねると水が流れて汚物を流してくれます。
ビルの場合は、ロータンクが設置不要のフラッシュバルブ式を採用しているケースが多いです。
ちなみに、タンクの上についてる水が流れてくる管は手洗い管という名称です。
タンクに入っている浮き球のようなものを一式でボールタップと呼びます。
各名称くらいは覚えておくといいかもしれません。
わ行
渡り鳥ビルメン
ビルメン会社を何社も転職して渡り歩いてるビルメンのことです。
彼らは様々な事情で転職を繰り返しています。
ちなみに私も渡り鳥です。
- 給料が安い
- 休みが少ない
- 嫌いな同僚がいる
- 通勤時間が長い
- 残業が多い
- 仕事がつまらない
- なんとなく
英数字
A、B、C工事
工事の発注者の区分。
ビルには様々なテナントが入居しており、賃貸契約のため定期的に入れ替えが行われます。
その時にテナントの新しい仕様に合わせて内装工事をしますが、その工事代金を支払う人の立場にわけてA工事、B工事、C工事と区分しています。
A工事
A工事は、オーナー指定の業者をオーナーが費用負担して発注します。
共用部や消防設備の工事などが該当します。
B工事
B工事は、オーナー指定の業者をテナントの費用負担で発注します。
電気設備や水道設備など共用部の設備と密接に関係があるけど、テナントの内装にも絡む工事が該当します。
この理由は、共用部と接続するような電気設備や水道設備の工事を、ビルのことをよく知らないテナントが連れてきた工事屋さんに任せてしまうと、トラブルの元になるためオーナーの息のかかった指定業者に工事をさせたほうが安全だからです。
C工事
C工事は、テナント指定の業者をテナントの費用負担で発注します。
テナント内の造作(間仕切り、クロス、建具などなど)などの工事が該当します。
これらの工事はテナント専有部内での工事であり、ビル側とは全く関係無いので好きなようにやらせても問題ない工事となっています。
※完全に放置すると、共用部に影響するような工事を勝手にするため注意は必要ですけどね。
CT(変流器)
大きな電流を小さな電流に変換する機器(逆も出来ます)。
電流は増えれば増えるほど発生する熱量が大きくなるため、計器類などに利用される細い配線にそのままの電流を流すと配線が溶けてしまう。そのため、変流器で電流を下げて計器類へ送ってあげる必要がある。
変流器=カレントトランスフォーマー=Current Transformer。英語表記の頭文字をとってCTと呼ばれています。
空調設備などで利用される冷却塔もCTと略される場合がありますが、ビルメンがCTと発言していたら変流器のことだと思ってOKです。
CT(冷却塔)
屋上や屋外に設置され、冷凍機などと組み合わせて利用される。
冷凍機械責任者を勉強すると仕組みがわかるようになります。
冷却塔=クーリングタワー=cooling tower。英語表記の頭文字をとってCTと呼ばれたりします。
EA
空調用語です。Exhaust Airで排気のことです。
ようはビル内から外部に排出される空気のことです。
同時に覚えたほうが良い用語で、OA,RA,SAもチェックしてください。
空調用語はダクト図面を見る際に役立ちますので、是非覚えておいてください。
EHP
電気モーターで駆動するエアコンのこと。Electric Heat Pump(エレクトリックヒートポンプ)の略です。
似た名称でGHP(Gas engine Heat Pump ガスヒートポンプ)というものがあり、こちらはガスエンジンを使って駆動するエアコンのことです。
ガスを駆動エネルギーにしているGHPを併用することで、夏場の電力(最大需要電力の消費量をおさえることができます。
とりあえず新人ビルメンはEHPは電気、GHPはガスとだけ覚えておけば良いかも?
ELB(漏電遮断器)
ELB(漏電遮断器)とは、電気回路に漏れた電流を検出して遮断する安全装置のことです。通常の電気回路では、電気は電源から出力され、電気機器を経由して地に戻ります。しかし、電気機器や配線に何らかの不具合があると、電気が回路外に漏れ出してしまうことがあります。
漏電遮断器は、このような漏れた電流を検出し、一定の設定値を超えると自動的に電気を遮断する仕組みを持っています。これにより、漏電事故による感電や火災を防止することができます。
普通のブレーカーとの見分け方は黄色いポッチトテスト用ボタンがついていること。テスト用ボタンを押すとブレーカーがオフになるため注意してください。
写真はパナソニック製
GHP
ガスエンジンで駆動するエアコンのこと。Gas engine Heat Pump(ガスヒートポンプ)の略です。
ガスエンジンを使って、エアコンの要となるコンプレッサーを動かすため、電気エネルギーの消費が少なくて済みます。それにより、夏場の最大需要電力を抑えることが出来ます。
当然、ガスの契約が必要ですし、ガス配管などの敷設も必要になるため、設備の初期投資が増えます。
MCCB
MCCB(Molded Case Circuit Breaker)は、電気設備において過電流(電気の使いすぎ)を検出して遮断する電気機器の一種です。
簡単に言えばブレーカーのことです。短絡(ショート)でもブレーカーをオフにする機能はありますが、漏電は検知できないため、漏電を検知するにはELB(漏電遮断器)別途設ける必要があります。
写真はパナソニック製
OA
空調用語です。Outdoor Airで外気のことです。
ビルの外から、ビル内に入れる空気のことです。
新鮮な空気を入れることは、ビルの空気調和においてとても重要です。
同時に覚えたほうが良い用語で、EA,RA,SAもチェックしてください。
空調用語はダクト図面を見る際に役立ちますので、是非覚えておいてください。
RA
空調用語です。Return Airで還気のことです。
ビル内の空気を循環させるために、取り入れる空気のことを指します。
ビル内ではすでに空調で温度調整された空気が充満しているため、ビル内の一定の空気を循環させたほうが効率が良いため、還気と外気を混ぜて空気を取り入れたりしています。
同時に覚えたほうが良い用語で、EA,OA,SAもチェックしてください。
空調用語はダクト図面を見る際に役立ちますので、是非覚えておいてください。
RC
Reinforced Concrete略で、鉄筋コンクリート造のことを言います。
SRCと一緒に覚えましょう。
SA
空調用語です。Supply Airで給気のことです。
空調機で温度調節した空気のことで、このSAがビルの室内に入ってきます。
空調用語はダクト図面を見る際に役立ちますので、是非覚えておいてください。
SRC
Steel Reinforced Concrete略で、鉄筋鉄骨コンクリート造のことを言います。
鉄骨が入っていないRCと一緒に覚えると良いです。
ビルメンとして勤務すると竣工図面などを見るようになりますが、おそらく最初のページあたりにSRC造などと記載があるはずでです。