消防設備士の科目免除についてメリット・デメリットを超わかりやすく解説!
消防設備士試験は科目免除制度を設けており、利用することで本試験の問題数を減らすことが出来ます。
この記事では科目免除の仕組みや申請する方法、科目免除をすることによる変化などを解説します!
消防設備士試験の科目免除の仕組み
まずは消防設備士試験の科目免除の仕組みを紹介します。
パターンが色々あって複雑なので、わかりづらい場合はこの記事にコメントを頂ければ回答します。
乙種消防設備士の資格を持ってる場合
乙種の消防設備士を持っている場合、他の乙種の試験を受ける際に科目の一部を免除することが出来ます。
ただし、甲種を受験する場合の科目免除はありません。
免除できる科目は以下の表①のとおりです。
乙1類 | 乙2類 | 乙3類 | 乙4類 | 乙5類 | 乙6類 | 乙7類 | |
乙1類 | – | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
乙2類 | ◎ | – | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
乙3類 | ◎ | ◎ | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
乙4類 | ○ | ○ | ○ | – | ○ | ○ | ◎ |
乙5類 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | ◎ | ○ |
乙6類 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | – | ○ |
乙7類 | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | – |
保有している類別によって、免除できる科目の種類が変わります。
◎: 「消防関係法令の共通部分」と「基礎的知識」が免除
○: 「消防関係法令の共通部分」が免除
消防関係法令の共通部分とか基礎的知識って何?
消防設備士乙種の試験は筆記30問+鑑別5問という構成です。
このうち、筆記試験の中に含まれている科目の名称が「消防関係法令の共通部分」と「基礎的知識」になります。
具体的には以下の表②を見てください。
試験科目 | 乙1類 | 乙2類 | 乙3類 | 乙4類 | 乙5類 | 乙6類 | 乙7類 | ||
筆記 | 消防関係 法令 | 共通 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
類別 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | ||
基礎的 知識 | 機械 | 3 | 3 | 3 | – | 5 | 5 | – | |
電気 | 2 | 2 | 2 | 5 | – | – | 5 | ||
構造・機能 及び 工事・整備 | 機械 | 8 | 8 | 8 | – | 9 | 9 | – | |
電気 | 4 | 4 | 4 | 9 | – | – | 9 | ||
規格 | 3 | 3 | 3 | 6 | 6 | 6 | 6 | ||
計 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | ||
実技 | 鑑別等 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
表の中の数字は問題数です。
赤文字で書かれた部分が免除可能な問題となっていますので、先ほどの表①と照らし合わせて見ましょう。
例えば、乙種1類を持っている人が乙種2類を受験する場合、表①では「◎」となっていたので「消防関係法令の共通部分6問」と「基礎的知識の機械3問と電気2問」の計11問を免除することが出来ます。
しかし、乙種6類を受験する場合は、表①では「〇」だったので「消防関係法令の共通部分6問」しか免除できません。
こんな表を覚えても仕方ないので、とりあえず以下のように理解しておくと良いです。
消防設備士は類別で3つのグループに分かれており、同じグループの資格を受験するときは科目をたくさん免除できる。
・グループA(1,2,3類)
・グループB(4,7類)
・グループC(5,6類)
※同系統のグループを受験するときはたくさん科目免除出来る!
甲種消防設備士の資格を持ってる場合
甲種の消防設備士を持っている場合、乙種および甲種の試験を受ける際に、科目の一部を免除出来ます。
免除できる科目は以下の表③のとおりです。
甲1類 | 甲2類 | 甲3類 | 甲4類 | 甲5類 | 乙1類 | 乙2類 | 乙3類 | 乙4類 | 乙5類 | 乙6類 | 乙7類 | |
甲1類 | – | ◎ | ◎ | ○ | ○ | – | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
甲2類 | ◎ | – | ◎ | ○ | ○ | ◎ | – | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
甲3類 | ◎ | ◎ | – | ○ | ○ | ◎ | ◎ | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
甲4類 | ○ | ○ | ○ | – | ○ | ○ | ○ | ○ | – | ○ | ○ | ◎ |
甲5類 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | ○ | ○ | ○ | ○ | – | ◎ | ○ |
保有している類別によって、免除できる科目の種類が変わります。
◎: 消防関係法令の「共通部分」と「基礎的知識」が免除になります。
○: 消防関係法令の「共通部分」が免除になります。
甲種も問題数の構成を表④にまとめましたので確認してください。
試験科目 | 甲1類 | 甲2類 | 甲3類 | 甲4類 | 甲5類 | ||
筆記 | 消防関係 法令 | 共通 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
類別 | 7 | 7 | 7 | 7 | 7 | ||
基礎的 知識 | 機械 | 6 | 6 | 6 | – | 10 | |
電気 | 4 | 4 | 4 | 10 | – | ||
構造・機能 及び 工事・整備 | 機械 | 10 | 10 | 10 | – | 12 | |
電気 | 6 | 6 | 6 | 12 | – | ||
規格 | 4 | 4 | 4 | 8 | 8 | ||
計 | 45 | 45 | 45 | 45 | 45 | ||
実技 | 鑑別等 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | |
製図 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
表の中の数字は問題数です。
赤文字で書かれた部分が免除可能な問題となっていますので、表③と照らし合わせて見ましょう。
例えば、甲種1類を持っている人が甲種2類を受験する場合、表③では「◎」だったので「消防関係法令の共通部分8問」と「基礎的知識の機械6問と電気4問」の計18問を免除することが出来ます。
しかし、甲種5類を受験する場合は、表③では「〇」なので「消防関係法令の共通部分8問」しか免除できません。
当然ですが、甲種保有者が乙種を受験する場合も同様のルールで免除可能です。
その他の国家資格を持っている場合
消防設備士以外でも科目免除を受けられる国家資格が存在します。
具体的には以下の3つの資格が該当します。
- 電気工事士(1,2種)
- 電気主任技術者(1,2,3種)
- 技術士
電気工事士(1,2種)
筆記試験のうち、「基礎的知識 」及び「構造・機能及び工事・整備」のそれぞれの科目中における「電気に関する部分」が免除なります。
また、実技試験では、4類(甲・乙)を受験する場合は、鑑別等試験の問1が免除になり、7類の場合は、全問が免除になります。
乙種だけですがこちらも表にしました。
試験科目 | 乙1類 | 乙2類 | 乙3類 | 乙4類 | 乙5類 | 乙6類 | 乙7類 | ||
筆記 | 消防関係 法令 | 共通 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
類別 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | ||
基礎的 知識 | 機械 | 3 | 3 | 3 | – | 5 | 5 | – | |
電気 | 2 | 2 | 2 | 5 | – | – | 5 | ||
構造・機能 及び 工事・整備 | 機械 | 8 | 8 | 8 | – | 9 | 9 | – | |
電気 | 4 | 4 | 4 | 9 | – | – | 9 | ||
規格 | 3 | 3 | 3 | 6 | 6 | 6 | 6 | ||
計 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | ||
実技 | 鑑別等 | 5 | 5 | 5 | 5※ 問1だけ | 5 | 5 | 5 |
表の中の数字は問題数です。
赤文字で書かれている部分が免除可能になる科目です。
7類に関しては、筆記が約半分に、実技は全て免除になるため、大幅に問題数を減らすことが出来ます。
電気工事士の試験に合格していても、免状化していないと科目免除は受けられませんのでご注意ください。
電気主任技術者(1,2,3種)
筆記試験のうち、「基礎的知識 」及び「構造・機能及び工事・整備」のそれぞれの科目中における「電気に関する部分」が免除なります。
乙種だけですがこちらも表にしました。
試験科目 | 乙1類 | 乙2類 | 乙3類 | 乙4類 | 乙5類 | 乙6類 | 乙7類 | ||
筆記 | 消防関係 法令 | 共通 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
類別 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | ||
基礎的 知識 | 機械 | 3 | 3 | 3 | – | 5 | 5 | – | |
電気 | 2 | 2 | 2 | 5 | – | – | 5 | ||
構造・機能 及び 工事・整備 | 機械 | 8 | 8 | 8 | – | 9 | 9 | – | |
電気 | 4 | 4 | 4 | 9 | – | – | 9 | ||
規格 | 3 | 3 | 3 | 6 | 6 | 6 | 6 | ||
計 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | ||
実技 | 鑑別等 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
表の中の数字は問題数です。
赤文字で書かれている部分が免除可能になる科目です。
電気工事士と違い、実技試験の免除は出来ません。
免除を使うなら電気工事士の方がお得ですね!
技術士
所持者は少ないと思いますが、技術士でも部門に応じて、筆記試験から「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」が免除になります。
具体的には、以下の表のとおりです。
機械部門 | 第1、2、3、4、6類 |
電気・電子部門 | 第4、7類 |
化学部門 | 第2、3類 |
衛生工学部門 | 第1類 |
実務経験を有している場合
該当者は少ないと思いますが、以下のようなケースでも一部科目が免除出来ます。
日本消防検定協会又は指定検定機関の職員
日本消防検定協会又は指定検定機関の職員で、型式認証の試験の実施業務に2年以上従事した者は、筆記試験のうち「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」が免除になります。
消防団員
5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の教育訓練のうち専科教育の機関科を修了した者は、乙種第5種、乙種第6類を受験する場合に、実技試験のすべてと筆記試験のうち「基礎的知識」が免除になります。
消防設備士試験で科目免除する方法
該当する条件を満たしてれば勝手に科目免除されるんでしょ?
それは無理です!
科目免除を受けるには指定された方法で受験を申し込む必要があります。
消防設備士試験で科目免除をするには、受験を申し込む際に免除する資格に応じた証明書類を提出する必要があります。
具体的には、以下の表で確認してください。
該当者 | 証明書類 |
消防設備士の資格を有する者 | 消防設備士免状のコピー |
電気工事士の資格を有する者 | 電気工事士免状のコピー |
電気主任技術者の資格を有する者 | 電気主任技術者免状のコピー |
技術士の資格を有する者 | 技術士第2次試験若しくは本試験の合格証明書又は技術士登録証のコピー |
日本消防検定協会又は指定検定機関の職員 | 型式承認試験の実施業務の従事証明書 |
消防団員 | 「5年以上消防団員として勤務したことを証明する書類」及び「消防学校の教育訓練のうち専修教育の機関科を修了したことを証明する書類」の両方 |
なお、インターネットによる電子申請、書類送付による書面申請のどちらでも証明書の送付は可能です。
※電子申請の場合は、受験申し込みの際に資格証などを撮影又はスキャンしたデータを添付書類として送信します。
消防設備士試験で科目免除をするメリット・デメリット
次に消防設備士試験で科目免除をするメリットやデメリットを紹介します。
勉強時間が減る
科目免除をするのだから当たり前ですが、問題数を減らすことができます。
問題数が減るという事は、必要な勉強時間を減らせるという事です。
社会人で働きながら勉強している人にとって、これは大きなメリットだと言えますよね。
ただし、1類を受験してから期間を空けずに2類を受験するような場合は、免除可能になる科目の知識が頭に残っているため、そもそもその科目は勉強しなくても大丈夫なんですけどね。
数年前に消防設備士に合格して、ほとんど知識が残ってないような人が別の類を受験するような場合は、メリットが大きいと思います。
試験時間が短くなる
消防設備士試験で科目免除を行うと、免除した問題数に応じて試験時間が短くなります。
種別 | 免除無し | 消防関係法令(共通部分)免除 | 消防関係法令(共通部分)と知識礎的知識免除 |
乙種 | 1時間45分 | 1時間30分 | 1時間15分 |
甲種 | 3時間15分 | 3時間 | 2時間30分 |
たっぷり時間を使って問題を解きたい方にとって、試験時間の短縮はデメリットかもしれません。
しかし、免除される問題数がかなり多いため、この程度の時間短縮は全く影響が無いと思います。
個人的に試験時間の短縮はデメリットだとは思っていません。
間違えてもいい問題数が減る
科目免除を行うと間違えてもいい問題数が減ります。
これは消防設備士試験で科目免除をする最大のデメリットなので、よく理解しておいてください。
そもそも消防設備士の合格基準は以下のようになっています。
- 各科目の正答率が40%以上
- 全体の正答率が60%以上
例えば、消防設備士乙種7類の試験でフルに科目免除を使った場合、もともと30問あった筆記の問題数が10問まで減少します。(実技試験は完全に免除)
【消防設備士7類の受験科目変化】
科目(筆記) | 免除前 | 免除後 | |
消防関係 法令 | 共通 | 6問 | 免除(他の消防設備士免状により) |
類別 | 4問 | 4問 | |
基礎的 知識 | 機械 | – | – |
電気 | 5問 | 免除(消防設備士4類or電気工事士or電気主任技術者により) | |
構造・機能 及び 工事・整備 | 機械 | – | – |
電気 | 9問 | 免除(電気工事士or電気主任技術者により) | |
規格 | 6問 | 6問 | |
計 | 30問 | 10問 |
10問まで減るなら最高やんけ?
これの何がデメリットなのかというと、例えば科目免除をせずに受験した場合、「消防関係法令」は10問あります。
消防設備士の合格基準の一つに各科目の正答率が40%以上とありますので、免除無しなら10問中6問間違えても大丈夫ということになります。
しかし、免除してしまうと「消防関係法令」は4問しかありませんので、3問間違えた時点でアウトです。
また、全問題数の正答率も60%以上なくてはいけないため、免除無しなら30問中12問まで間違えられるところを、全て免除すると10問中5問間違えた時点でアウトです。
問題数と正答数の比率自体は変わらないのですが、問題集に載っていない箇所が出題されたり、運悪く難問が出題されてしまう可能性もあるため、科目免除をして間違えられる問題数を減らすというのはリスクがあります。
ただし、複数の問題集を利用すれば、見たことが無い問題に遭遇する可能性はかなり低くなるため、もし科目免除を使って受験する場合は、なるべく複数の問題集を使い多くの問題に触れるようにしましょう!
勉強時間を大きく減らすことが出来るため科目免除自体は悪い事だと思いません。
消防設備士のオススメ問題集は以下の記事紹介していますのでチェックしておいてください。
【関連記事】消防設備士おすすめテキスト・問題集
まとめ
この記事では消防設備士試験の科目免除について解説しました。
おそらくネット上の記事などでは、科目免除に関して否定的な意見が多いと思います。
しかし、仕事の都合で勉強時間の確保できない人もいると思いますので、そういった人は科目免除を利用するのは全然アリだと思います。
実際に科目免除を利用して合格している人は大勢いますので、この記事で紹介したメリットやデメリットを理解し、試験対策方法を実践すれば、科目免除自体は便利な制度だと思います。
上手く活用して消防設備士の資格を増やしていきましょう!
消防設備士を取得する順番は以下の記事を参考にしてみてください!
【関連記事】消防設備士「難易度」「人気」ランキング
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