ビルメン(ビルメンテナンス)とは、オフィスビルや商業施設、病院、学校などの建物で、設備の点検・保守・修理・衛生管理などを行う仕事です。
仕事に関連する資格を求められることもありますが、未経験でも入社できる会社も多く、近年は異業種からの転職先として人気が高まっています。
しかし、インターネットで語られる「ラクでのんびり」「定年後も続けられる」といったイメージだけで転職してしまうと、現実とのギャップに苦しむ可能性があります。
今回は、私の実体験をもとに、異業種からビルメンに転職する前に知っておくべき注意点を紹介します。
ビルメンに対する過度な期待はNG!

インターネット上には「座ってスマホをいじっていればいい」「残業なし、休み多い」といったラクなイメージが溢れていますが、はっきり言わせてもらいます。
実際には、普通にしっかり仕事してます。点検、報告書作成、修繕対応、業者とのやり取りなど日々の業務は多岐にわたり、現場によっては忙し過ぎて残業が発生したり、休日出勤が必要になることもあります。
もちろん、ネットで話題に上がるような「クソ暇な現場」も1〜2割くらいの確率で存在しますが、大半の現場はそれなりの仕事量があると思っておくべきです。

実際に楽な現場あるのも事実なんですけどね・・。
【関連記事】ビルメン楽すぎ!一人勤務の現場が楽すぎたので紹介します!
大きなビルになれば、1回の出勤で1万歩以上歩くこともあるので「楽がしたいからビルメン」に転職することはは正直おすすめできません。
転職前に知っておきたい具体的な仕事内容と特徴

私はビルメン関連のYouTubeチャンネルを運営しており、視聴者の方から転職に関する相談を日常的にいただいています。
そこで、これまでに寄せられた問い合わせの中から、未経験でビルメンに転職した方が後悔しやすいポイント、「転職前に知っておくべき具体的な仕事内容と特徴」を紹介します。
夜勤(宿直)がある
夜勤(宿直)は月に数回あることが多く、仮眠時間はありますが勤務時間は24時間に及びます。また、仮眠時間中に緊急対応が入ることもあり、想像以上にハードなケースもあります。
入社時は日勤だけの現場に配属されても、会社の都合により夜勤がある現場に異動なんてこともあるため、ビルメンをやるなら夜勤は避けられないという認識が必要です。

汚い仕事がある
トイレの詰まり対応や汚水槽の点検など、衛生的に敬遠されがちな作業も含まれます。清掃業務は基本的には別業者の仕事ですが、清掃員が不在時には自分で対応することもあります。
吐しゃ物の処理などを行う可能性もあるため、清掃がきついという方には務まらないと仕事です。
また、虫(ゴキブリ、ハエ)やネズミの駆除に立ち会う、もしくは実際に駆除をしなくてはいけない場面もあります。

給料は高くない
ビルメンは給料が低い仕事です。未経験スタートでは年収250万〜350万円程度が相場で、働く地域や入社する企業のランクによってはそれ以下のこともあります。
昇給や資格手当などで増額することはできますが、年収500万円以上を目指すにはそれなりの年数とスキルが求められます。
とはいえ、近年の人手不足やインフレが原因で、ビルメン業界全体の年収は上がりつつあります。以下の記事では新人のビルメンの方を対象に実施した年収アンケートの結果を紹介しています。

現場ガチャがある
ビルメンの仕事は、同じ会社でも配属先によって労働環境が大きく異なります。
例えば、午前と午後の巡回をこなせば、あとは一日中デスクでネットサーフィンができるような比較的楽な現場もあれば、常にトラブルが発生していてお昼休憩も満足に取れないほど忙しい現場もあります。
一般的にオフィスビルや公共施設は楽な現場と言われていますが、実際に働いてみないとわからないことが多いです。
こうした違いを「現場ガチャ」と呼ぶこともあります。
異業種からビルメンに転職した人が特に苦労する部分で、現場ガチャで「ハズレ」を引いてしまった人からの相談をいただくことも少なくありません。
現場ガチャはどこの会社でもありますが、なるべくレベルの高い会社に入っておくと安心です。以下の記事では全国のビルメン会社をランキング形式で紹介しているので、もし転職するのであれば参考にしてみてください。


私は様々な現場を経験していますが、現場によって仕事負荷は全然違います。ビルメンやるなら楽な現場で働きたいですよね・・。
雑務が多い
ビルメンは雑務を頼まれることもあります。
例えば、雪かき、草むしり、落書き消し、イベント準備、倉庫の整理など、まさに「なんでも屋」です。入社後に「これもやるの?」と驚く人が多いですが、何でもやるのがビルメンなので諦めてもらうしかありません。
ただし、草むしりや落書きを消すだけで月給25万円以上を安定してもらえるのですから、個人的には美味しい仕事だと思うんですけどね。
コミュニケーション力は必要
ビルメンはコミュニケーション力がなくてもできると思っている人が意外と多いです。
確かに、設備のメンテナンスだけを行う比較的単純な現場もありますが、実際にはほとんどの現場で一般的なコミュニケーション能力が求められます。
例えば、ビルに入居しているテナントやビルのオーナー、専門的な修理やメンテナンスを担当する業者など、多くの関係者とやり取りをしなければなりません。
営業職ほど高度な対人スキルは必要ありませんが、最低限の礼儀や説明力は必須です。

コミュ力で苦労している人も多いですね。
個人的には協調性さえあれば何とかなる仕事だと思っています。
ビルメンに転職して「OKな人」と「NGな人」の特徴
ビルメンの仕事は、人によって「向き・不向き」がはっきり分かれる仕事です。転職してから後悔しないためにも、次のようなチェックリストを参考に、自分に合っているかどうかを見極めてみてください。
「転職OK」の項目だけを見て希望を膨らませるのではなく、「転職NG」の項目にも自分が当てはまらないかをしっかり確認してください。
異業種からの転職ということは、今の職場を辞めてまでビルメンという選択をするわけですから、「思っていたのと違った」と感じてからでは遅いのです。
まとめ:ビルメンは「現実を理解してから選ぶ」べき職種

ビルメンはたしかに、他の職種と比べて落ち着いた雰囲気のある仕事かもしれません。ただし、それは決して「何もしなくてもお金がもらえる」という意味ではありません。
最初は覚えることが多く、現場ごとの特性に対応する必要もあるため、それなりの大変さはあります。一方で、仕事に慣れれば業務はルーティン化し、安定して働き続けられる職種でもあります。実際、長年続けている人の多くは、その安定性や働きやすさに魅力を感じています。
とはいえ、すぐにラクになるわけではありませんし、高収入や華やかなキャリアを求める方には不向きです。だからこそ、「なんとなく楽そうだから」ではなく、「自分の性格や働き方に合っているか」「続けられそうか」をしっかり見極めることが大切です。
また、場合によっては、今の職種を続けつつ職場環境だけを変える(会社を変える)という選択肢の方が現実的なケースもあります。焦らず、冷静に、将来を見据えた判断をしていきましょう。

コメント