消防設備士はやめとけ?ホワイト企業はあるの?激務?底辺ってホント?【ビルメンからの転職】


ビルメン飽きました。メーター検針と巡回の毎日。このままじゃ将来が心配です!
せっかくを消防設備士を取ったので、この資格を活かして転職したいです!
でもネットには「消防設備士 やめとけ」って書いてあります・・・。大丈夫ですかね?
ビルメンからの転職に消防設備士はオススメです。
仕事は大変になりますけどね・・。

この記事では消防設備士の仕事内容や雇用条件などを解説します。
ビルメンと深く関係する職業なので、どんな仕事をしているのか理解しておくと良いと思います。
★5ちゃんねるの消防設備士まとめ動画もありますので、良かったらご覧ください↓
消防設備士とは
消防設備士は、消火器やスプリンクラー設備などの消火設備、自動火災報知設備などの警報設備、救助袋などの避難設備の設置工事、点検整備を行うことができる「消防法」を根拠とする国家資格の名称です。
また、この資格を使って点検などの業務にあたる人のことも「消防設備士」と呼びます。
資格を取得するためには国家試験に合格する必要がありますが、無資格でも採用してくれる消防設備会社はあります。
消防設備士は、技術系の資格の中でも難易度が低い資格です。
レベル的には第二種電気工事士と同程度か少し難しいといったところです。
1か月程度勉強すれば誰でも受かる国家資格なので、気軽に挑戦することが出来ます。
なぜ消防設備士が必要なの?

なんで資格が必要なんですか?
消防設備士が必要な理由は、点検対象となる消防用設備が重要なものだからです。
※スプリンクラーや消火器などの事を「消防用設備」と呼称します
消防用設備は建物に火災が発生した際に、「火災の発生を人に知らせる」「人を安全な場所に避難させる」「火災を食い止める」などの役割を持っています。
有事の際にこれらの機能が正常に働かなかったら人命に関わります。
そこで国家試験に合格した正しい知識を持つ消防設備士だけに、消防用設備の点検や設置工事をすることが許されているのです。
消防設備士の種類
消防設備士の資格には、扱える消防用設備の種類に応じて分類があります。
消防設備士の分類 | ||||
1類(乙・甲) | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備 | |||
2類(乙・甲) | 泡消火設備 | |||
3類(乙・甲) | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備 | |||
4類(乙・甲) | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備 | |||
5類(乙・甲) | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 | |||
6類(乙) | 消火器 | |||
7類(乙) | 漏電火災警報器 | |||
特類 | 特殊消防用設備 |
なお、1~5類までは乙・甲と種類が分かれており、乙種では点検と整備しか出来ませんが、甲種の資格を持っていると点検・整備および工事まで出来るようになります。(甲種は乙種の完全上位のため、甲種を取れば乙種は不要です。その代わり試験の難易度が上がります)
全ての消防用設備の点検や工事をするためには、上記の表全ての分類をコンプリートしなければいけないため、何回も試験を受けなくてはいけません。

消防設備点検資格者
試験が苦手な人は消防設備点検資格者という逃げ道もあります。
この資格は消防設備の「点検」しか出来ませんが、講習を受講すれば取得出来るため消防設備業界への入門におススメです。
ただしデメリットもありますので、詳しくは以下の記事をご覧ください↓
消防設備士の仕事内容

消防設備士は、一般住宅、ビル、商店、学校、病院など様々な建築物において、消防用設備の点検や工事を行います。
以下の写真は消防設備士が点検する対象の機器です。この他にも様々な設備を点検しています。






以下の表は点検員の一日のスケジュールです。
7時~8時 | 会社に集合~社用車で現場へ移動 | ||
8時30分 | 点検現場に到着(小規模オフィスビル) | ||
9時 | 点検開始 | ||
11時30分 | 点検完了 | ||
12時~13時 | 昼食 | ||
13時 | 次の現場へ移動 | ||
13時30分 | 点検現場へ到着(マンション) | ||
14時 | 点検開始 | ||
16時 | 点検完了~会社へ戻る | ||
17時 | 会社で事務作業(報告書作成など) | ||
18時 | 何も仕事が無ければ退勤 |
点検は基本的に2人以上で行います。
今回紹介したケースのように、小規模物件であれば1日に複数個所を回って効率よく点検する場合が多いです。
また大規模施設となると、複数人を動員して数日掛けて点検することもあります。
消防用設備の設置工事
甲種の資格を持っていれば、消防設備の設置工事も出来るようになります。
新地物件の工事であれば工期も長くなりますので何日も同じ現場で作業することになります。
また、スプリンクラーヘッド、感知器、非常放送のスピーカー、消火器などは決められた範囲ごとに正しい個数を設置する必要があるため、これらの設置個所を考え図面を作成する作業なども消防設備士の仕事です。
消防設備士の年収は?
消防設備士の年収は入社する会社の規模や保有資格、実務経験の年数によって大きく違います。
未経験の場合は年収300万円前後が多く、経験を積み資格を増やしていくことで年収400万円以上も狙っていけます。
また、甲種を取得して設置工事まで出来るようになると、様々な手当込みで年収500~600万円程度になるようです。
未経験でも大手防災機器メーカーの消防点検部署に入社出来ればもっと高い年収が貰えるようです。

消防設備士のココがきつい

ここでは消防設備士がきついと感じることを紹介します。
仕事選びはデメリットを先に知ることが大事です。
耐えられそうに無い場合は消防設備士への転職をやめておきましょう!
コミュニケーションが苦手なら消防設備士はやめとけ
消防設備士は技術職ですが、お客さんと会話する機会が多いです。
私はビルメンなので管理しているビルの消防設備点検を消防設備会社に委託していますが、点検結果の報告を受けるときにコミュ力の高い消防設備士の人の説明はわかりやすくて助かります。
また、ビルやマンションの専有部を点検するときはテナントや入居者の協力が必要です。
このときも円滑なコミュニケーションが出来ていないと仕事になりません。
営業をするわけではないので高いコミュ力は不要ですが、社会人としての最低限のマナーは必要だと思います。
なお、会社によっては入居者やテナントに対して火災時の避難誘導や、消火器の使い方などをレクチャーする場合もあります。
労働時間が長いから消防設備士はやめとけ
現場系の職業の中では、消防設備士の点検員はわりとワークライフバランスが良い方です。
しかし、点検する現場によっては早朝や夜間など時間が指定されていたり、もともと人気が無い職種のため人手不足の会社が多く休日出勤や残業が発生しやすい傾向にあります。
また、工事担当になると常に工期のことを意識しながら働かなくてはいけないため、工期を間に合わせるために休日出勤や残業は当たり前になります。
私が担当しているビルで保守契約をしている消防設備士の工事担当の方は、2週間近く休みが取れていないと言っていました・・。
工事担当になる場合は、ワークライフバランスが壊滅する覚悟をしたほうが良いかも・・。

体力仕事だから消防設備士はやめとけ
消防設備士は現場仕事です。
点検対象が大規模なビルになると、相当な距離を歩くことになります。
テナントの専有部(マンションなら居室内)はもちろん、共用部(階段や廊下)、建物の外周にも消防設備は設置されています。
これらを全て点検するため、かなり体力を消耗します。
また、期限切れの消火器を交換する場合は基本的に手で持ち運びしますし、古いスプリンクラー制御弁のバルブなどは操作性が悪く回すのにかなりの力を使います。
覚えることが多いから消防設備士はやめとけ
消防設備士の会社に入社するだけなら、無資格でも可能です。
しかし資格を持っていないと出来ることが限られてしまい、いつまでも見習いのような状態になってしまいます。
そのため、働きながら資格の勉強をしなくてはいけません。
また実務に関しても消防設備の種類はとても多く、それぞれ点検方法も違いますので覚えるのが大変です。
それに消防法は定期的に改正されるため、新たな知識も増やしていかないといけません。
非常用発電機や、防火扉・シャッターなども点検の対象です。
これらの設備も点検項目が改正されたりしています。

給料が安いから消防設備士はやめとけ
先ほど未経験の消防設備士だと年収が300万円前後と紹介しました。
ビルメンの私が言うのもアレですが、消防設備士の年収もかなり低いと思います。
しかも消防設備士の場合は仕事がきついことが確定してますし、最低限取らなければならない資格もビルメンより多いです。
経験を積めば給料は上がりますが、修業期間の安月給に耐えられない人は消防設備士を選択しないほうが良いかもしれません。
消防設備士として働くメリット【底辺じゃない理由】

次に消防設備士で働くメリットを紹介します。
消防設備士のことを底辺とか言う人もいますが、これらのメリットを見てもそんなこと言えるでしょうか!
消防設備士の仕事は無くならない【安定している】
消防設備士の仕事は安定しています。
一定規模以上の建物には必ず消防設備士の点検が必要な消防用設備が備わっており、「消防法」で定められた定期点検が義務付けられています。
そして、消防法は大きな火災事故が発生する度に厳しくなっています。
法律が厳しくなると防災設備の点検項目が増えますので、今後も消防設備士の仕事が増えることはあっても、減ることは考えにくいです。
ちなみに私がビルメンを始めてからも、2016年の「建築基準法」の改正により防火シャッターや防火扉の点検をする「防火設備定期検査」が追加されました。(建築基準法ですが、消防設備の会社が点検することが多いです)
うちのビルで委託している消防設備業者さんはいつも忙しそうです。

★消防設備士と同様にビルメンも安定した仕事です(詳しくは以下の記事で)↓
消防設備士は副業でも働ける
経験と資格が必要になりますが、消防設備士は副業も可能です。
本業で正社員の仕事に就いて、休日だけ消防設備士の手伝いをするような人も多いようです。
月に4,5回の出勤で5万円以上稼ぐことも出来るようなので、お金が欲しい人にはおススメです。
最初に技術を身に着けるのは大変ですが、副業として働く分には面倒な人間関係で悩む必要も無いのでメリットは大きいはずです。
最近は自分のスキルを活かして副業をしている人が多いので収入源を複数持つことはおススメです!
>>副業(クラウドワークス)についてはこちらで解説

消防設備士は成長できる
消防設備士は成長を感じられる職業です。
実務に関しても様々な消防設備の仕組みや点検方法を覚える必要がありますし、関連する資格もかなりの数があります。
大変な仕事だからこそ、自分の成長を実感できるのは間違いないですよね。
ビルメンも成長出来ないわけじゃないですが、暇な現場に配属されてしまうとスキルは全く上がらないですからね・・。

消防設備士は社会貢献できる
ただ消防設備の点検をしているだけだと実感しづらいかもしれませんが、消防用設備は人命や建物などの資産を守るための重要な設備です。
火災発生時にこれらの設備が正常に機能すれば、人命を救えますし建物の被害も最小限で済みます。
間接的ではありますが、社会貢献できる仕事であることは間違いありません。
逆に言うと適当な点検をしていたら、有事の際に機器が正常に動かずに被害が拡大します。
最悪人命を失う可能性もありますので、責任が重い仕事であることを覚悟してくださいね。
消防に提出する点検報告書には、点検者の氏名が記載されます。
妥協は許されない仕事だと思ってくださいね。

消防設備士は女性も多い業界

消防設備士は現場仕事の中でも女性が多い業界です。
これまでに何人も消防設備士の女性を見てきました。
年齢層も20~40代くらいまでと幅広い方が活躍されています。

なんで女性が多いんだろ?
現場仕事のわりに力が必要な業務が少ないですし、マンションの女性一人暮らしの部屋に入室して点検する場合なんかは、女性スタッフが重宝されるなどの理由があるからだと思います。

消防設備士は独立も可能

消防設備士は個人事業主として独立も出来ます。
もちろん独立する前に何かしらの消防設備会社に就職して修行する必要がありますが、経験を積んで資格を取得すれば独り立ちも出来ます。
個人事業主なので年収も大きく上げられますし、独立する消防設備士も珍しくないようです。
仕事の責任は増えますが、会社特有のストレスから解放されるのは大きなメリットです。
消防設備士に向いてる人

消防設備士は大変そうですがやりがいがありそうですね。
どんな人に消防設備士は向いてるんでしょうか?
「こんな人なら消防設備士に向いてるかも?」ということで、いくつか特徴を選んでみました。
消防設備士に興味があって、一つでも該当するなら消防設備士を就職先の候補に入れてみてください!
真面目な人に消防設備士は向いてる
消防設備士の基本となる業務は機器の点検です。
点検というのは、既に設置してあるモノが正常に動作するか確認する行為です。
ということは、実際に点検せずに報告書に点検済みと記載してもバレないということです。
もし点検を横着した結果、故障していた機器を発見出来なかったら・・・。
想像もしたくない結果が待っていることでしょう。
仕事なので当たり前のことなのですが、手抜き出来そうな仕事でも真面目に出来る人に消防設備士は向いています。
勤勉な人に消防設備士は向いてる
「消防設備士やめとけ」でも説明しましたが、消防設備士は覚えることが多いです。
休日などを利用してコツコツと資格を増やし、同時に業務知識も増やしていけるような勤勉な人に消防設備士は向いています。
むしろ、専門職でもないビルメンですら消防設備士の資格をコンプリートしてる人もいるくらいなので、本職の消防設備士として働く以上は消防設備士の全類をコンプリートするのは当たり前であるといえます。
もちろん入社後に数年かけて全てを取得すれば良いと思いますが、ベテラン消防設備士が全類コンプリートしてないのはどうかと思います。

毎日同じところで働きたくない人に消防設備士は向いてる
消防設備士は毎日違うビルやマンションを点検しています。
一般的なサラリーマンのように毎日同じ事務所に出社して退勤まで会社にいるわけではありません。
ずっと同じところで働くのが苦痛に感じる人もいると思いますので、そういう人には消防設備士は向いているといえます。
ただし報告書作成などは事務所でやることが多いため、全く会社に行かなくて良いというわけではありませんのでご注意ください。
消防設備士に就職したいなら大手ホワイト企業を選ぼう

冒頭で消防設備士は無資格でも就職出来ると説明しましたが、資格が重要視される業界である以上は何かしらの関連資格を取得してから就職活動をするべきです。
オススメの資格は消防設備士乙種4類、消防設備士乙種6類、第二種電気工事士です。
どの資格も1か月程度で取得出来ますので、本気で就職したいなら資格取得から始めてみてはいかがでしょうか。
★各資格の取得方法などは以下の記事で解説しています↓
★とりあえず消防設備士の勉強をしたい方は、公論出版の書籍がおススメです。ほとんどの受験生がこのテキスト・問題集で合格しています。
ホワイト企業に入社したいなら転職サイト選びが重要
消防設備の仕事を探すなら転職サイト選びも大事です。
ハローワークだと企業は無料で求人が掲載出来るためブラック企業が多いので、それ以外の転職サイトを選びましょう。
私のお勧めは転職エージェントです。
優良なホワイト企業の紹介や、職務経歴書や面接の対策などを全て無料でやってもらえます。
狙うべき会社は大手の消防設備メーカー、又はメーカーと取引のある消防設備の点検会社です。
ホワイト消防設備点検会社の求人紹介「大手消防設備メーカー」
建設・設備求人データベースでは、以下のような求人を扱っています。
一例なのでこの他にも求人はあります。【令和5年11月現在】
消防設備士として長く働くつもりなら、大手メーカー系のホワイトな消防設備会社に入社しましょう!!
給料がたくさん貰えれば仕事に対するモチベーションアップにつながります。
- 能美防災株式会社
- ホーチキ株式会社
- ニッタン株式会社
- ヤマトプロテック株式会社
能美防災株式会社【大手消防設備メーカー】
消防設備機器メーカーでお馴染みの能美防災です。
ビルメンランキングで例えるとSランクの系列系といったところです。
入社できれば将来安泰ですね。
この求人は長野県での募集ですが、全国展開している企業です。
ホーチキ株式会社 | ||
年収 | 450~800万円 | |
年間休日 | 125日 |


ホーチキ株式会社【大手消防設備メーカー】
こちらも消防設備機器メーカーであるホーチキです。
当然、消防設備メンテナンス会社としてもSランクです。
全国展開している企業ですので、千葉県以外でも募集はあります。
ホーチキ株式会社 | ||
年収 | 450~750万円 | |
年間休日 | 124日 |


ニッタン株式会社【大手消防設備メーカー】
ニッタンも防災設備のメーカーです。
この会社も自社で消防設備点検を請け負っています。
エリア限定採用もあるようなので、転勤したくない方にピッタリかもしれません。
下の求人では埼玉の募集ですが、千葉、愛知、大阪など様々なエリアの求人がありました。
ニッタン株式会社 | ||
年収 | 400~750万円 | |
年間休日 | 123日 |


ヤマトプロテック株式会社【大手消防設備メーカー】
ヤマトプロテックは主に消火器などの消火設備の製造をしているメーカーです。
この会社も消防設備点検を請け負っています。
年間休日も多くホワイト企業だといえますね。
ヤマトプロテック | ||
年収 | 340~600万円 | |
年間休日 | 127日 |


まとめ(本当に消防設備士はやめとけ?)

今回は消防設備士についてまとめてみました。
消防設備士はビルメンから転職しやすい業界の1つです。
そのためビルメンの仕事にやりがいを感じられない方は、消防設備士の資格を増やして転職してみても良いかもしれません。
安定した業界ですし入社のハードルも低いため、40代のおじさんにもおススメできる職業です。
それに先ほど紹介した能美防災やホーチキなど入社出来れば、Sランクビルメン会社の年収も超えられます。
ただし、仕事量はビルメンと比べて確実に増えますので覚悟は必要です。
仕事で楽をしたいならビルメン一択です。
しかし、40代以降からビルメンになっても年収はあまり期待出来ません。
養う家族がいるような状況の人は、消防設備士のほうが年収面では有利になるはずです。


消防設備士も転職先の候補に入れてみます!