ビル設備管理技能士を解説!ビルメンに必要な資格なの?

ビル設備管理技能士ってなんや?
ビル管理士とは違うのか?

ビル設備管理技能士とビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)は全く別の資格です!
ビル設備管理技能士がどんな資格なのかご説明しますね。
ビル設備管理技能士という資格をご存知でしょうか?
ビルメン業界で働いたことがある人なら名称は聞いたことがあるけど、内容までは詳しく知らない人が多いと思います。
私がこれまで入社したビルメン会社でも、この資格を保有している人は見たことが無いのでかなりマイナーな資格なんだと思います。
そんなマイナー資格「ビル設備管理技能士」について今回はご紹介したいと思います!
ビル設備管理技能士とは?

ビル設備管理技能士とは「技能士」という国家資格シリーズの中の1つです。
ビル設備管理に関する技能検定試験に合格することで、ビル設備管理技能士の名称を名乗ることが出来ます。
なお、ビル設備管理技能士は1級と2級があり、1級の方が難易度が上です。
そもそも技能士って何だよって話ですよね。
技能士とは様々な職業において、その職業の業務に精通した者であるということを証明する名称独占資格です。
各技能士試験に合格したもでなければ〇〇技能士と名乗ってはならず、違反して名乗った者には罰則あり!
ビル設備管理技能士以外にも、「造園技能士」「めっき技能士」など、令和5年現在で111種類の技能士資格があります。
基本的に技能士の資格を所持していないと出来ない業務が存在しないため、あまり意味の無い資格ですが、一部の技能士は別の国家資格を受験するための受験資格になっていたり、当該職種の職業訓練指導員免許を取得することが出来るようです。
なお、各技能士試験を受験するためには、その職種において実務経験を有している必要があります。
そのため、名刺に技能士の名称が書いてあるという事は、実務経験を有することの証明になり相手に安心感を与えることが出来るかも?
あの有名なFP(ファイナンシャルプランニング技能士)も、同じ技能士だったりします。

ビル設備管理技能士という資格がマイナー過ぎるので、名刺に書いてあっても意味は無さそうですが・・・。
ビル設備管理技能士試験の概要

この記事を見てビル設備管理技能士を取得したいと思う方もいるかもしれませんので、ビル設備管理技能士の試験概要をご紹介致します!
試験を管轄している団体
団体名 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 |
URL | https://www.j-bma.or.jp/ |
【全国ビルメンテナンス協会について補足】
建築物の快適な環境の確保を目的に、1966年に設立された内閣府認定の機関です。
東京を本拠に全国に支部があるとても大きな団体となっており、ビルメンテナンス業に関して日々研究をしているようです。

お堅い組織みたいです。
私のように楽をすることだけを考えてビルメンに転職した人間には縁のない組織ですね・・。
受験資格
ビル設備管理技能士は、それぞれの級ごとに以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
ちなみに1級を受験するには2級取得が必須です。
受検資格 | 実務経験年数 | ||
1 級 技能士 | 2 級 合格後 | 2 級 技能士 | |
ビル設備管理に関する実務経験のみ | 7 年 | 2年 | 2年 |
ビル設備管理に関する高校卒業 | 6年 | 0年 | |
ビル設備管理に関する短大 ・ 高専 ・ 高校専攻科卒業 | 5年 | ||
ビル設備管理に関する大学卒業 | 4年 | ||
ビル設備管理に関する専修学校又は各種学校卒業(800 時間以上) | 6年 | ||
ビル設備管理に関する専修学校又は各種学校卒業(3,200 時間以上) | 4年 | ||
ビル設備管理に関する短期課程の普通職業訓練修了(700 時間以上) | 6年 | ||
ビル設備管理に関する普通課程の普通職業訓練修了(2,800 時間未満) | 6年 | ||
ビル設備管理に関する普通課程の普通職業訓練修了(2,800 時間以上) | 4年 | ||
建築設備管理科職業訓練指導員免許取得 1 | 1年 | 1年 |
学歴が無い人が普通に1級まで取得しようとするとすると、7年以上かかるようです。
電気管理技術者に必要な実務経験(5年)よりも長いとは驚きですね・・・。

ビル設備管理に関する大学って何だろうと思いましたが、機械や電気などの学科が当てはまるようです。この辺は試験センターに要確認ですね。
受験料
ビル設備管理技能士の受験料は1,2級ともに共通です。
学科試験 | 実技試験 | 合計 |
3,700円 | 18、700円 | 22,400円 |
学科と実技で受験料が分かれているのは、どちらか合格した場合に免除出来るからです。
※免除は3年間有効

学科と実技試験は別日に実施されますので、受験料はお高いみたいです。
申し込み方法
ビル設備管理技能士の受験申し込みは簡易書留による郵送のみです。
申請用の用紙はコチラのページの「受験案内」からダウンロードできます。
web申請が無いのは痛いですね・・。
試験日程
ビル管理技能試験には筆記試験と実技試験があります。
試験日程は1級、2級ともに共通で年に1回実施となっています。
事項 | 摘要 |
受付期間 | 6月頃 |
・実技試験問題の公表 ・受検票交付 | 7月末 |
学科試験(1 級・2級)及び実技ペーパーテスト(1級のみ)の実施日 | 9月前半 |
実技作業試験 実施期間 | 8月後半~9月前半 |
合格発表 | 10月末 |
2023年度は既に募集を締め切っていますが、コチラで日程の概要が確認できます。
試験内容
ビル設備管理技能士は1級、2級ともに電気、空調、給排水、建築と、ビル管理に関する幅広い知識が問われます。
ビルメンの集大成とも言えるべき試験内容ですね。
学科は〇×形式で問題が出題されます。
学科の試験問題を見る限り、ビルメン経験が長く電気工事士やビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)を試験で取得した人であれば、簡単に感じるはずです。
実技試験は電工試験と同じで、事前に試験問題が公表されるようですので対策はしやすいようです。
2022年の学科試験問題のリンクを貼っておきますので、力試しに解いてみてください!
1級 | 学科 | ① ビル設備管理作業 ・建築・設備図面 ・電気設備の機器の構造、機能及びその関連事項 ・空気調和・換気設備の機器の構造、機能及びその関連事項 ・給排水設備の機器の構造、機能及びその関連事項 ② ビル設備管理法 ・計画書の作成方法 ・ビル設備の運転監視方法(ビル設備に異常が発生した場合の危険回避のための処置及び操作方法を含む。) ・ビル設備の機器の異常、損傷及び故障の原因及び発見方法 ・測定器の使用方法 ・ビル設備の運転監視に必要な点検方法 ・報告書及び記録書の作成方法 ③ 関連法規 ・電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)関係法令、電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)関係法令、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)関係法令、高圧ガス保安法関係法令、建築物における衛生的環境の確保に関する法律関係法令、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)関係法令、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)関係法令、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)関係法令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)関係法令、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)関係法令及び消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)関係法令のうち、ビル設備管理に関する部分 ④ 安全衛生 ・安全衛生に関する詳細な知識 |
実技 | 【作業試験】 実技試験は、作業試験2課題とペ一パーテストから構成されています。作業試験の実施日は、作業試験実施期間内で、受検者ごとに受検票で定められた日に実施します。また、試験問題(送付日)は、各地の試験事務所から受検者に送付します。なお、ぺ一パーテストは学科試験と同日に行ないます。 【課題:ビル設備管理作業】 ・ビル設備の運転監視並びに運転監視に必要な日常点検及び定期点検に関する計画書の作成 ・ビル設備の運転監視 ・ビル設備の運転監視に必要な日常点検 ・ビル設備の運転監視に必要な定期点検 | |
2級 | 学科 | ① ビル設備管理作業 ・建築・設備図面 ・電気設備の機器の構造、機能及びその関連事項 ・空気調和・換気設備の機器の構造、機能及びその関連事項 ・給排水設備の機器の構造、機能及びその関連事項 ② ビル設備管理法 ・ビル設備の運転監視方法(ビル設備に異常が発生した場合の危険回避のための処置及び操作方法を含む。) ・ビル設備の機器の異常、損傷及び故障の原因及び発見方法 ・測定器の使用方法 ・ビル設備の運転監視に必要な点検方法 ・報告書及び記録書の作成方法 ③ 関連法規 ・電気事業法関係法令、電気工事士法関係法令、労働安全衛生法関係法令、高圧ガス保安法関係法令、建築物における衛生的環境の確保に関する法律関係法令、水道法関係法令、下水道法関係法令、浄化槽法関係法令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律関係法令、建築基準法関係法令及び消防法関係法令のうち、ビル設備管理に関する部分 ④ 安全衛生 ・安全衛生に関する詳細な知識 |
実技 | 【作業試験】 実技試験は、作業試験3課題で構成されています。作業試験の実施日は、作業試験実施期間内で、受検者ごとに受検票で定められた日に実施します。また、試験問題(送付日)は、各地の試験事務所から受検者に送付します。 【課題:ビル設備管理作業】 ・ビル設備の運転監視 ・ビル設備の運転監視に必要な日常点検 ・ビル設備の運転監視に必要な定期点検 |
合格基準
ビル設備管理技能士の合格基準は以下のとおりです。
【実技試験】
作業試験において、各配点の40%以上を得点し、かつ合計で満点(100点)の60%以上を得点で合格。

科目で足切りがあるので、満遍なく勉強しないといけないみたいですね
【学科試験】
満点(100点)の65%以上を得点で合格。
合格率
ビル設備管理技能士試験の各年度の受験者と合格者の数です。
1級 | |||
年度 | 受検申請者数 | 合格者数 | 合格率 |
2017 | 25人 | 18人 | 72.0% |
2018 | 35人 | 12人 | 34.3% |
2019 | 36人 | 22人 | 61.1% |
2020 | 29人 | 18人 | 62.1% |
2021 | 22人 | 17人 | 77.3% |
2級 | |||
年度 | 受検申請者数 | 合格者数 | 合格率 |
2017 | 74人 | 30人 | 40.5% |
2018 | 67人 | 21人 | 31.3% |
2019 | 52人 | 30人 | 57.7% |
2020 | 38人 | 14人 | 36.8% |
2021 | 38人 | 15人 | 39.5% |
目を疑うほど受験者の数が少ないです・・・。
ちなみに、同じ技能士系の資格であるFP技能士3級の2023年5月の学科試験の受験者数は、42,476人でした。
ビル設備管理技能士がこれほど不人気な資格だとは・・・。
勉強方法
Amazonや楽天でテキストを探しましたが、ビル設備管理技能士試験専用の書籍は見つかりませんでした。
おそらく建築物管理訓練センター が発行している本や、以下のようなビルメンテナンスの書籍で勉強するしか無いようです。
ビル設備管理技能士を取得するメリット

ビル設備管理技能士には独占業務も無いですし、かなりマイナーな資格なので取得してもメリットは無いと思います。
ただし、資格手当の支給対象になっているビルメン会社もありますので、そういった会社で働いている方は恩恵を受けられるかもしれませんね。

私が勤務していた会社で毎月50000円支給されるところがありました。
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とくに目的も無しに取るのであれば、例えばビルメン4点セットと三種の神器、消防設備士などビルメン関連の資格をある程度取得してしまって、他に取りたい資格が無い人が趣味の範囲で勉強するような資格といったところでしょうか。
ビル設備管理技能士まとめ
今回はビル設備管理技能士についてのご紹介でした!
試験問題自体は難しく無いと思いますが、ビルメンの業務を幅広くカバーした内容でしたので、ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の実務経験が満たせていない新人ビルメンが勉強したほうが意味がありそうな資格だと思います。
それでも独占業務が無い以上は、私が皆さんに取得を勧めることは無いですね。
結論:ビル設備管理技能士は取るな!
★ビルメン業界で需要のある資格を知りたい方は以下の記事をご覧ください!