認定電気工事従事者はビルメンにいらない?メリットは?【電工二種からのステップアップ】
会社から認定電工事従事者を取得するように言われたんですが、これって取らないといけないんですか・・?
もう勉強したくないんですが。
認定電気工事従事者は、講習を受けるだけで取得でるので勉強する必要はありませんよ!
私も会社の指示で取得しましたので特別な理由が無い限りは講習を受けて来ましょう!!
今回は電気工事系の資格である認定電気工事従事者についてご紹介します!
取得するかどうか悩んでいる方は、是非この記事を見て判断をしてみてくださいね。
この記事はビルメンからの視点で認定電気工事従事者を解説していますが、実際に電気工事士の仕事をしている人にとっても役に立つ情報になっています。
認定電気工事従事者について良く知らない方は最後まで読んでおくことをオススメします。
認定電気工事従事者とは
認定電気工事従事者は、自家用電気工作物の電気工事に従事できる電気工事士法を根拠とした国家資格です。
自家用電気工作物とは、低圧で受電している戸建て住宅等(一般用電気工作物)と異なり電力会社から高圧で受電している建物と理解してください。(厳密には細かい定義がありますが)
ビルメンが働くことになるビルは高圧受電ですので自家用電気工作物に該当します。
【補足情報】
一般用電気工作物:戸建て住宅、アパートなど低圧で電気を受電している建物
自家用電気工作物:ビル、工場のような高圧で電気を受電している建物
低圧:交流で600V以下、直流で750V以下の電圧
高圧:交流で600Vを超え7000V以下、直流で750Vを超え7000V以下の電圧
※特別高圧:上記以上の電圧
ただし認定電気工事従事者を持っていれば自家用電気工作物内の全ての電気工事が出来るわけではなく、工事範囲は600V以下の低圧部分に限られます。(電線路除く)
わかりづらいと思うので以下の表を使って解説します。
まずビルメンの皆さんがお持ちである第二種電気工事士ですが、この資格では一般用電気工作物の電気工事しか出来ません。
先ほども紹介しましたが一般用電気工作物は戸建て住宅などが該当するため、第二種電気工事士ではビルメンが勤務することになるビル(自家用電気工作物)の中の電気工事は出来ず、第一種電気工事士が必要になります。
しかし、第一種電気工事士は実務経験が3年無いと免状化することが出来ません。(試験の受験は可能です)
それではビル内の低圧部分の電気工事(コンセントやブレーカーの交換など)をするためのハードルが高くなってしまいますので、その穴を埋めるために存在するのが認定電気工事従事者なのです。
認定電気工事従事者を持っていれば自家用電気工作物内において低圧部分の電気工事が出来る!
第二種電気工事士はビルメンにとって意味が無い?
第二種電気工事士はビルメン4点セットとか言っておきながら、ビル内の電気工事が出来ないんじゃ意味無いですよね・・?
>>【関連記事】ビルメン4点セットとは?
いえ、ビルメンが第二種電気工事士を取得する意味はありますよ!
これまでの説明を読むと、一般用電気工作物の電気工事しか出来ない第二種電気工事士はビルメンにとっては意味が無さそうですよね。
でも、安心してください!ビルメンが第二種電気工事士を取得するメリットはあります。
具体的には以下の3つであると私は考えています。
- ビルメンの転職で有利になる
- ビルメンには第二種電気工事士で学ぶ電気工事の知識が必要
- 認定電気工事従事者の講習を受けるための受講資格になる
3つとも重要な要素ですが、今回紹介している認定電気工事従事者の受講資格になる点に着目して頂きたいです。
第二種電気工事士の必要性については以下の記事でも解説していますので、興味がある方は合わせて読んでみてください。
認定電気工事従事者と第一種電気工事士の違い
次に認定電気工事従事者と第一種電気工事士の違いについて解説します。
どちらも自家用電気工作物の電気工事が可能となる資格ですが、先ほどの工事範囲の表を見て頂くと第一種電気工事士には「右記以外」という枠にもチェックが入っていることがわかります。
認定電気工事従事者では、自家用電気工作物であっても「電線路除く・600V以下」までの電気工事士しか出来ませんが、第一種電気工事士ではそれ以外の電気工事も可能であるということ意味します。
ちなみに電圧600Vとは、低圧と高圧の分岐点になります。
つまり、第一種電気工事士は高圧部分の工事も可能であるということになります。
なるほど!
第一種電気工事士=認定電気工事従事者+第二種電気工事士ってことなんだね。
その通りです!
そのため、免状化済みの第一種電気工事士を所持している方にとっては、認定電気工事従事者は不要な資格になっています。
【関連記事】第一種電気工事士を無試験で取得する方法
最大電力500kW以上は無資格OK?
先ほどまでの解説には例外がありまして、下記表の黄色〇で囲ったところに着目してください。
500kW未満という記載が確認できます。
この数値は自家用電気工作物の最大電力の値なのですが、500kW以上に該当する項目がありません。
実は500kW以上の自家用電気工作物に関しては、電気工事士法の対象外となっており電気工事士系の資格を持たなくても電気工事が可能となっています。
自家用電気工作物は、電気事業法により建物ごとに電気主任技術者を選任するルールになっており、電気主任技術者が当該建物の電気設備を適切に保安管理しているため、電気工事士の免許を持たなくても電気工事をすることが許可されているのです。
あくまで法律的な観点からの話であって、実際の現場では第二種電気工事士を保有している人がほとんどですけどね。
認定電気工事従事者認定講習の概要
ここでは認定電気工事従事者の認定講習について解説します。
なお、この資格は筆記試験が無く座学講習を受けるだけで取得出来ます。
資格を管轄している団体
団体名 | 一般財団法人 電気工事技術講習センター |
URL | https://www.eei.or.jp/ |
第一種電気工事士の再講習なども開催している団体ですね。
受講資格
認定電気工事従事者認定講習の受講資格は以下の二つです。
- 第二種電気工事士免状の交付を受けている方
- 電気主任技術者免状の交付を受けている方
ビルメンなら電工二種は持っていると思われますので、受講資格は問題無くクリア出来ると思います。
講習不要で取得可能?
以下の条件に該当する人は、講習を受けなくても認定電気工事従事者の免許交付を受けることが出来ます。
- 第一種電気工事士試験合格者
- 第二種電気工事士免状取得後、電気工事に関し3年以上の実務経験を有する方
- 電気主任技術者免状取得後、電気工作物の工事、維持若しくは運用に関し3年以上の実務経験を有する方
上記の条件で申請する場合は、産業保安監督部電力安全課へ問い合わせください。(産業保安監督部)
※1の「第一種電気工事士の試験合格者」というのは、実務経験無しで試験に合格しているだけでもOKです。
受講料
12,500円(税込み)
申込方法
認定電気工事従事者認定講習の申込方法はweb申込だけになります。
申し込み用のリンク→https://www.eei.or.jp/approval/guide.php
講習日程
令和5年上期の日程は以下のとおりです。
なお、申込期間は8月1日(火)~8月15日(火)です。
東京都 | 11月9日(木) | 東京都電設工業企業年金基金会館 東京都新宿区大久保2-8-3 |
11月10日(金) | ||
11月13日(月) | ||
11月14日(火) | ||
11月15日(水) | ||
愛知県 | 11月21日(火) | 電気文化会館 愛知県名古屋市中区栄2丁目2-5 |
11月29日(水) | ||
大阪府 | 11月6日(月) | 大阪府社会福祉会館 大阪府大阪市中央区谷町7丁目4-15 |
下期の日程はまだ出ていませんでした。
受講内容
認定電気工事従事者認定講習の講習内容及びスケジュールは以下の通りです。
講習時間:午前10時~午後5時(1日)
講習科目 | 講習時間 |
---|---|
第1編 配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 | 1時間30分 |
第2編 電気工事の施工方法 | 1時間30分 |
第3編 自家用電気工作物の検査方法 | 2時間 |
第4編 自家用電気工作物の保安に関する法令 | 1時間 |
資格の更新
認定電気工事従事者は更新不要です。
取得後は一切の維持費がかかりませんので気軽に取れる資格です。
最初の方で第一種電気工事士を持っていれば認定電気工事従事者は不要と書きましたが、第一種電気工事士は5年ごとに更新料がかかりますので、維持費の面で考えれば認定電気工事従事者を取得しておくメリットはありますね。
認定電気工事従事者はいらないの?
さて、最初の説明で最大電力500kW以上のビルであれば、無資格で電気工事が可能とお伝えしました。
実務的な話をすれば、常駐ビルメンが勤務することになるビルは500kW以上のものがほとんどなので、この資格が必要になる場面は少ないです。(私が現在勤務しているビルも小規模ですが500kw以上あります)
じゃあ受講しなくてもいいんですか?
いえ、そんなことはありません。
巡回型ビルメンが担当するような小規模ビルの中には、最大電力500kw未満のビルも当然あります。
そういった施設の担当になった際に、第二種電気工事士しか持ってない人がビル内の電気工事をしてしまうと、法律違反になってしまいますよ!
といわけで、法律違反になる可能性もあるため認定電気工事従事者は取得しておいたほうが無難な資格であると言えますね。
ちなみに、私はこの資格を会社の指示で取ってきました。
講習代や交通費は会社負担ですし、講習の日は出社扱いになったので1日会社がサボれてラッキーでしたね。
ただし会場の椅子がパイプ椅子だったので、尻が痛くてイライラしましたが・・。
当然のことですが、本職の電気工事士で第一種電気工事士を持っていない人なら認定電気工事従事者は必須です。
500kw未満の自家用電気工作物で電気工事をすると法律違反になってしまいます!
認定電気工事従事者まとめ
今回は認定電気工事従事者の紹介でした。
ビルメンであれば最大電力500kw未満の担当になった場合は、法律違反になる可能性もあるため取得しておいた方が安全です。
しかしこれは個人的な意見ですが、講習で取得するタイプの資格は自腹を切ってまで受ける必要は無いと思っています。
そのため会社から取得するように指示があり、受講料も会社負担の場合にだけ取得すればOKかなと思います。
受講料12,500円は高いですからね!
結論:認定電気工事従事者講習は会社のお金で受講しよう!
他のビルメン資格情報もチェック!
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主要資格に関してはそれぞれ特集記事を書いてますので、取得方法や勉強方法が気になる方は以下のリンクからご覧ください!
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コメント一覧
認定電気工事従事者、電験資格から講習取得しとりますー!電験三種合格時の同封パンフを見落とさず申し込んだ甲斐あったでよぉ(笑)…同年度の電工二種実技失敗もあり早めの取得を考えた(笑)
実際電気保安職種でも500kW未満の自家用電気工作物への監視装置取付に役立ち、さらに電話線通報方式の当時はアナログ2種工事担任者も必須となり…アマチュア無線技士と並行して速攻受験取得ですー(当時郵政省管轄で出題も似てた)。
ビルメンに限らず工場設備管理でも実質要ります。実際受託先の電工二種持ち社員は認定電気工事従事者資格を知らないようで…周知に頭を悩ませとります。パンフを渡せば済むが下手にゴリ押すと契約解除の恐れがありますでね。
いっそ僕の担当顧客に電工二種受験を勧め、取得者には講習に行かせるよう仕向けます。損して人徳取れ、気が合う方なら多少の当方負担はやぶさかではないですし。
あと認定電気工事従事者の利点は定期講習がないこと!!…5年ごとに必須の電工一種と違い無期限ですー。それやから電気管理技術者の場合、高圧故障対応を他の同業者に任せる(威圧配線のみ自前補修)なら認定電気工事従事者だけで事足りてまいます。年配者あるあるかもしれーせん!?
※鳥山明「ドクタースランプ」ファンにつき名古屋弁で書いとります。