ビルメン4点セットは必要なの?資格が取得出来ない人へアドバイス!
ビルメン4点セット揃えたいけど、ボイラー技士だけがどうしても受からない・・
ビルメン4点セットは必ずしも全部揃える必要はありませんよ!
今回はその理由を解説しますね!
この記事では「ビルメン4点セットを揃える必要があるのか?」について解説をしていきます。
私がYouTubeで生配信をしていると、「第二種電気工事士と危険物取扱者は取得出来たけど、ボイラー技士は中々受かりません」というような相談を受けることが度々あります。
おそらく、ボイラー技士や冷凍機械責任者がビルメン4点セットに組み込まれているため、全ての資格を揃えようと頑張っていらっしゃるんだと思います。
もちろんビルメン4点セットに全部受かるまで頑張るのは大事なことですが、もう少し柔軟な考え方があっても良いかなと思い、今回の記事を書くことにしました。
試験に受からず悩んでいる人は是非見て行ってください!
筆者はビルメン歴10年の中堅ビルメンです
この記事から私の事を知った方もいると思いますので、簡単に自己紹介をしておきます。
私はビルメン歴10年で、数社のビルメン会社を転々としています。
巡回型ビルメンも経験していますので、管理してきたビルは20棟近くにのぼります。
また、資格はビルメン4点セットと電験三種、ビル管理士などを保有しておりビルメン業界に関する知識には自信があります!
そんな私の経験を元に、ビルメン4点セットの必要性を解説します。
ビルメン4点セットとは
この記事をご覧の方は既にご存知だと思いますが、ビルメン歴が浅い方もいるかもしれませんので簡単にビルメン4点セットのご説明をします。
ビルメン4点セットとは、ビルメンテナンス(設備管理)の業務を遂行するうえで必要となる4つの基本資格の事です。
具体的には以下の資格のことです。(クリックすると各資格の解説ページへ飛べます)
資格名 | 概要 |
---|---|
第二種電気工事士 | 一般家庭などの電気工事が可能となる業務独占資格 |
危険物取扱者乙種4類 | 第四類の危険物「引火性液体」の取り扱いが可能となる業務独占資格 |
第三種冷凍機械責任者 | 1日の冷凍能力が100トン未満の冷凍機の保安管理を行うことが可能となる業務独占資格 |
2級ボイラー技士 | 伝熱面積の合計が25m2未満のボイラー取扱作業主任者となることが可能となる業務独占資格 |
未経験者がビルメン四点セットを全部取得しようとすると、合計で200時間程度は勉強しなくてはいけません。
ビルメンって勉強家ですよね・・
ビルメン4点セットの難易度
ビルメン4点セットはビルメンの基本となる資格ですが、それぞれジャンルが異なる資格ですし難易度も違います。
私の主観で難易度順に並べてみました。
難易度 | 資格名 | 根拠 |
---|---|---|
★☆☆☆ | 危険物取扱者乙種4類 | 市販の問題集に掲載されている問題と似たような問題が出題されるため、問題集だけでも合格が可能。 勉強する範囲も広くないため取得難易度は低い。 【関連記事】危険物取扱者乙種4類の合格率を年度別に紹介 |
★★☆☆ | 2級ボイラー技士 | 8割以上過去問と同じ問題が出題されるため、危険物取扱者と同様に取得しやすい。 【関連記事】2級ボイラー技士の合格率を年度別に紹介 |
★★★☆ | 第二種電気工事士 | 「筆記試験」と「実技試験」に分かれているため、単純に勉強が面倒くさい。 ただし、どちらも正しい方法で勉強すれば難易度自体は高くない。 【関連記事】第二種電気工事士の合格率を年度別に紹介 |
★★★★ | 第三種冷凍機械責任者 | 過去問の類似問題が出題されるが、全く同じ問題は出ないためテキスト等を使って正確な理解をする必要がある。 4点セットの中で一番難易度が高い資格といえる。 【関連記事】第三種冷凍機械責任者の合格率を年度別に紹介 |
一番簡単な資格は危険物取扱者乙種4類で、難しい資格は第三種冷凍機械責任者となります。
ただし、それぞれジャンルが違う資格なので、人によって難易度の感じ方が違う可能性もありますのでご了承ください。
ビルメン4点セットの所持率
ビルメン基本資格と言われている4点セットですが、実際のところ現場ビルメンの所持率はどうなのでしょうか。
私のこれまで働いてきた現場にいたビルメンの資格所持状況を思い返してみると、4点セットを全て揃えている人は1~2割程度でした。
ビルメン基本資格なのに意外に少ないんですね!
電工二種と乙4を持ってる人は多いのですが、ボイラーと冷凍機を持ってる人は少ないんですよね。
基本資格と呼ばれているわりに、かなり低い所持率だと思います。
また、私のYouTubeチャンネルのリスナー様(201名)を対象とした資格所持率アンケートのデータを使って集計した結果もご紹介します。
【ビルメン4点セット所持率 全201名が対象 令和5年9月更新】
資格名 | 所持者 | 所持率 |
---|---|---|
第二種電気工事士 | 172人 | 85.5% |
危険物取扱者乙種4類 | 155人 | 77.1% |
2級ボイラー技士 | 132人 | 65.6% |
第三種冷凍機械責任者 | 102人 | 50.7% |
4点セットコンプリート | 79人 | 39.3% |
いかがでしょうか。
各資格ごとの所持率で言えば、電気工事士と危険物取扱者はかなり多いです。
しかしビルメン4点セットを全てコンプリートしている方は39.3%しかいません。
ちなみに、アンケートに回答して頂いた方たちは、YouTubeでビルメンのことを調べるくらいなので資格取得に対して前向きな方が多いと思います。
そのため実際の現場の所持率よりも高い結果になっているはずです。
ビルメン5点セット
ちょっと話が脱線しますが、ビルメン4点セットに消防設備士乙種4類が追加されると、ビルメン5点セットになります。
ちなみに私がビルメンを始めた10年前と比べると、消防設備士の評価は現在の方が高くなっている気がします。
実際の現場でも消防設備士を取得しているビルメンは増えているようですね。
消防設備士は必要無いというビルメンの方もいらっしゃると思いますが、私は余裕があれば取得することを推奨しています。
なぜなら、消防設備もビルの設備に含まれるからです。
建物の維持管理がビルメンの仕事なので、消防設備の知識をおさえておくことは、ビルメンがビルの管理を任されてる以上、最低限のマナーかなと思います。
ただし資格を使って仕事をすることは無いので、知識さえあれば資格取得までしなくてもいいかもしれませんけどね。
ビルメン8点セット
8点セット?まだあるんですか・・?
先ほど紹介したビルメン5点セットに、ビルメン三種の神器と呼ばれる資格が追加されるとビルメン8点セットになります。
- 第三種電気主任技術者
- 建築物環境衛生管理技術者
- エネルギー管理士
これら全ての資格を揃えるには、かなりの時間を要しますので取得を急ぐ必要は無いです。
しかしビルメンを長く続けていくつもりがあるなら、最終的に全て揃えることを目標にしても良いと思いますよ!
資格手当の金額が大きい会社に勤務していれば、ビルメン8点セットの手当だけで毎月5万円以上支給されるはずです。
【関連記事】ビルメン8点セットの難易度ランキングを作成しました!
ビルメン4点セットは絶対に必要なのか?
先に結論から話しますと、ビルメン4点セットを全て揃える必要はありません。
しかし、ビルメン業界で長く働くつもりなら全て取得しておいたほうがメリットが多いです。
理由は以下の2つです。
①ビルメン求人で4点セットの資格を推奨している
ビルメンの求人を見たことがある人ならわかると思いますが、応募条件の推奨資格にビルメン4点セットを記載している会社が多く存在します。
もちろん求人の表記では必須資格とは書いていないので、資格を所持していなくても応募は可能です。
しかし、例えばAさんBさんという同じようなスペックの人が同時に面接来たとして、Aさんは4点セット全て持っているけど、Bさんは第二種電気工事士しか持っていなかったら、Aさんを採用したくなるのが面接官の心情だと思いませんか?
Aさん(25歳高卒) | |
保有資格 | 第二種電気工事士 危険物取扱者乙種4類 第三種冷凍機械責任者 2級ボイラー技士 |
Bさん(25歳高卒) | |
保有資格 | 第二種電気工事士 |
私が面接官なら絶対にAさんを採用します。
4つの資格を揃えるのは大変ですから、Aさんのことをそれだけ努力出来る人間だと評価します。
それに危険物取扱者や冷凍機、2級ボイラーの資格が必要な物件をその会社が今後受託した場合、Aさんを雇用しておけば選任することも可能ですからね。
②資格手当が貰える
全てのビルメン会社に資格手当制度があるわけではないですが、もし入社している会社でビルメン4点セットに資格手当が支給されるなら月給が上がりますよね。
気前の良い会社だと、4点セット全て持っていると10,000円近く貰えるようです。
ビルメンは薄給なので、資格手当で毎月10,000円が貰えるのはかなり美味しいですよね。
資格手当が貰える会社で働いているなら、ビルメン4点セットを取得しない理由が思いつきません。
ビルメン4点セットが揃わず就活を開始できない人へ
ビルメン4点セットが揃わなくて、ビルメンへの就活に踏み出せない方はいませんか?
ネットでビルメンのことを調べてると、「ビルメン会社に転職するなら、4点セットは必須」なんて情報が掲載されていたりするので勘違いしている人も多いですが、ビルメン4点セットを全部揃える必要なんてありませんよ!
4点セットを揃えるのは、あくまで面接に受かりやすくするためなので、良い求人が見つかったらビルメン4点セットが揃ってなくても求人に応募しましょう!
おススメは4点セットのうち1,2個の資格を取得出来たら、就活を開始することです!
4点セット全てを揃えようとすると、勉強を開始する時期によっては1年近くかかってしまいますので、就職するという本来の目的から遠ざかってしまいます。
ビルメン4点セットで最重要資格は第二種電気工事士だが・・
ビルメン4点セットで就職で最も役立つのは、第二種電気工事士です。
個人的には第二種電気工事士さえ取得しておけば、ビルメンに就職することは十分に可能だと思っています。
しかし、人によっては何回受けても第二種電気工事士が受からない人もいることでしょう。
電気工事士は技能試験があるので、苦手な人もいると思います。
そういった場合は、第二種電気工事士は諦めても問題無いです。
第二種電気工事士を持っていなくても、他の資格を持っていればビルメンに就職することはそんなに難しくないです。
そもそも年齢が若ければ、無資格でもビルメン会社に就職することは可能です。
このようにビルメン4点セットを全て揃えることにこだわってしまい、ビルメンに転職するという本来の目的を見失わないようにご注意ください。
すでにビルメン会社に就職しており、会社の指示で資格を取得するように言われている方は勉強するしかないですが・・。
ビルメン4点セットを取得する順番は?
先ほどビルメン4点セットで最重要資格は第二種電気工事士と紹介しましたが、取得する順番としては危険物取扱者乙種4類を一番最初に取得することをオススメしています。
その後、第二種電気工事士を取得し、ボイラー又は冷凍機と順に取得していくと良いと思います。
このあたりの理由やスケジュール感は以下の記事で解説していますので、良かったら参考にしてみてください。
- 危険物取扱者乙種4類
- 第二種電気工事士
- 2級ボイラー技士or第三種冷凍機械責任者
※勉強を開始する時期によっては、冷凍機械責任者を優先したほうが良い場合もあります。
実際の現場でビルメン4点セットは不要?
実務的な話をすると、ビルメン4点セットの各資格を持っていても仕事で使うことはほぼありません。
私自身もビルメン4点セットの資格を使って仕事をしたことはないので、「ビルメンにとって4点セットは絶対に必要か」という質問を受けた場合、不要という回答をしています。
それぞれの資格が不要な根拠をご説明します。
第二種電気工事士
第二種電気工事士は一般用電気工作物(戸建て住宅など)の電気工事が可能な資格です。
ビルメンが勤務することになるビルは自家用電気工作物なので、そもそも第二種電気工事士を持っていても法律的な意味では役に立ちません。
しかし、ビルメンの求人を見てみると第二種電気工事士を応募条件にしているものが多く、この資格の有無で応募できる企業の選択肢に大きな差が出ますので、ビルメンに転職するなら欲しい資格ではありますが・・。
なんで法律的には不要なのに応募条件に書いてあるの?
ビルの維持管理では電気を取り扱う事が多く、電工二種を持っていれば最低限の電気の知識があるという担保があるからです。
またビル管理会社とビルオーナーとの契約で、ビルに配属するビルメンは電工二種保有者に限ると条件がつけられている場合もあります。
いずれにしても、法律的な観点で見れば電工二種を持っていても意味が無い点は事実です。
第二種電気工事士について、いくつか専門の記事を執筆しているので気になる方は下記のリンクからご覧ください。
【関連記事】ビルメンに第二種電気工事士が必要な3つの理由を解説!
【関連記事】第二種電気工事士「筆記試験」参考書・過去問のオススメ教材を紹介!
【関連記事】第二種電気工事士の技能試験対策にオススメの教材を紹介【レンタルも有】
危険物取扱者乙種4類
危険物取扱者乙種4類はビルに設置されている発電機や、ボイラーに使用する燃料の管理に必要な場合があります。
しかし、ビルメンの危険物取扱者の資格保持率は80%を超えています。(以下の記事参照)
そのため危険物取扱者が必要なビルに配属されても、他のスタッフの誰かが資格を持っているはずなので、使う機会はほぼゼロに近いです。
現場の所長が選任されている場合が多いですね。
危険物乙4について、いくつか専門の記事を執筆しているので気になる方は下記のリンクからご覧ください。
2級ボイラー技士
2級ボイラー技士は、ボイラーの取り扱いに必要な重要な資格でした。
しかし、免許が必要なボイラーを設置しているビルがが時代とともに減ってきています。
私は巡回型ビルメンも含めると20棟近くのビルを経験しておりますが、免許が必要なボイラーの現場に配属されたことは一度もありません。
大きな病院やホテルにはまだ免許が必要なボイラーはあるらしいので、全く役に立たないということはないんですけどね・・・。
私の父は病院ビルメンで1級ボイラーを使って仕事をしていました。
危険物乙4について、いくつか専門の記事を執筆しているので気になる方は下記のリンクからご覧ください。
第三種冷凍機械責任者
ボイラーと同様に冷凍機も免許が必要な設備が減っています。
冷凍機も大きな病院やホテル、倉庫などであれば免許を使って仕事が出来る可能性がありますが、ほとんどのビルメンは冷凍機の免許を使わずにビルメン人生を終えているのではないでしょうか。
30年くらい前のビルメン業界では、ボイラーや冷凍機が当たり前のように使われていたため、その名残がビルメン4点セットという形で残っているんだと思います。
第三種冷凍機械責任者ついて、いくつか専門の記事を執筆しているので気になる方は下記のリンクからご覧ください。
★当時のビルメン業界のことは、以下の映画を見れば雰囲気がわかりますよ!
ビルメン4点セットは不要だとは言いましたが・・
ビルメン4点セットは実務上は不要と言ったものの、冒頭でも説明したようにビルメン求人で推奨資格に書かれている以上は、持っておいて損はないという結論になります。
資格手当が支給されたり、昇進や転職活動でも優位に働くはずですよ!
最低でも第二種電気工事士は欲しいですね。
余裕がある方は、ビルメン3種の神器も含めて全て取得することをオススメします!
資格の勉強から逃げても良い!【ビルメン4点セットは不要】
資格の勉強が嫌い又は苦手であれば、ビルメン就職後は無理して勉強を継続する必要はありません。
長い人生において、苦手なことには見切りをつけて逃げるという選択肢を選ぶことも大切です。
そもそも色々なことから逃げた結果、ビルメンに行きついた方も多いと思います。
なので、電工二種など最低限の資格を取得してビルメンに就職出来たのなら、4点セット、5点セット、三種の神器に固執する必要は全くないです。
趣味や、家族・恋人との時間を優先して楽しく生きることも大事だと思いますよ!
ビル管理士だけは取得推奨!!
それでも最後の就職先としてビルメンを選択したのなら、講習で取れる資格だけでも取得してみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、講習で取れるビルメン資格をご紹介しています。
講習で取得可能な資格の中でもビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)は、ビルメン業界において最も価値のある資格となっており、実務でもビルメン転職でも凄まじい恩恵を与えてくれます。
取得するための条件は厳しいですが、ほぼ勉強せずに取得可能ですので勉強が苦手な方は是非講習で取得してみてください。
ビル管理士を取得しておけば、現在の会社を転職したくなった時の保険になります!
この資格を持ってるだけで応募可能なビルメン会社が3倍くらい増えますよ!
どうしてもビルメン4点セットを揃えたいなら
ビルメン4点セットは、ビルメンの基本資格です。
それぞれ違う内容を学習するため勉強は大変ですが、内容自体はそこまで難しいものではなく、勉強をすれば誰でも取れる資格です。
どうしても取得出来ないということであれば、勉強方法を間違えている可能性があります。
以下の記事では私の資格の勉強法を公開していますので、ご自身の勉強のやり方と比べて間違っている点がないか探してみて下さい。
ビルメン資格に関しては、全て一発合格出来ましたので勉強方法自体は間違っていないと自負しております!
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